nn5n Foundation
Branch of SCP Foundation
nn5n: scp-2935 あゝ死よ
KeterSCP-2935 あゝ死よRate: 389
SCP-2935
hole.png

SCP-2935。

アイテム番号: SCP-2935

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2935の入口はコンクリートで封鎖されました。SCP-2935へのアクセスは禁止されます。

説明: SCP-2935はインディアナ州ジョッパ近郊の墓地下層にある鍾乳洞内部に存在する時空間異常です。この墓地に最後に遺体が埋葬されたのは1908年であり、SCP-2935から発せられている無線信号に続いて財団職員に発見されました(下記の補遺2935.1を参照)。

SCP-2935は2016年現在の地球とほぼ同一の複製空間です。しかしながら、一つの大きな例外があります ― SCP-2935内部の生命は、生物学的なものも非生物学的なものも、また同様に知性ある実体・機械・コンピュータ・その他の“生きているような”現象も、全て2016年4月20日を以て死滅しています。

初期に探査目的でSCP-2935に入った機動部隊が収集した情報は、SCP-2935内の全生命体がアメリカ東部標準時(EST)で0300-0400の間に、突然、何の前触れもなく死亡したという結論を指し示しています。この原因は現在も不明です。

補遺2935.1: 発見

2016年4月28日0500 EST頃、インディアナ州ブルーミントン近郊のサイト-81にて、通信職員が無線信号を検出しました。この信号は、歪みが入り判読不能の状態ではあったものの、州間高速道路70号線に近いインディアナ州ジョッパの非法人地域まで追跡されました。財団ポリシーに従って信号の原点を特定するためにインディアナポリスからサイト-81の職員らが派遣され、エリア探索中にSCP-2935が発見されました。

SCP-2935への初期潜入1当時、探査ドローンが単に洞窟の反対側へ抜けただけのように見えたことから、上記の職員らは自分たちの発見が実際に異常存在なのかを確信していませんでした。周辺領域の観察と、捜索していた無線放送の歪んでいないものの検出によってこの疑惑は直ちに晴れました。無線放送は4月20日以来ループ再生されていたと思われるもので、SCP-2935世界におけるサイト-81起源の自動メッセージでした。メッセージの完全な転写が以下になります。

これはSCP財団および貴方がたの国の政府からの自動放送です。私たちのサイトの1つ以上が通信断絶状態にあり、不明な規模の収容違反が発生した可能性が濃厚です。収容チームが封じ込めを再確立するために活動している間、全ての市民は屋内に留まってください。このメッセージは2016年4月20日から— (メッセージは唐突に途切れ、ループする)

この後、サイト-81職員らはサイト司令部に連絡を取りました。機動部隊イプシロン-13 “マニフェスト・ディスティニー”が即時SCP-2935の調査および探査に割り当てられました。

補遺2935.2: SCP-2935探査

MTFイプシロン-13によるSCP-2935の探査は計4回のミッションに分けて実行され、うち3回は有人、最後の1回は無人でした。これらのミッションの間に、幾つかの物品および断片的情報が回収されています。内容の完全なリストは補遺2935.3で閲覧できます。

ミッション概要: SCP-2935入場ポイントを直接的に取り巻く領域の調査、および情報とサンプルの採取。

担当機動部隊: 機動部隊イプシロン-13 “マニフェスト・ディスティニー”(4名)

追加情報: 以下は、SCP-2935の発見直後に調査を割り当てられたMTF E-13による音声およびビデオ映像の転写である。エージェント ジュノ率いる4名編成のチームが、異常の予備的評価に一時間ほど費やした。

[記録開始]

ジュノ: 無線。

デヴォン: チェック。

ケール: チェック。

アンダーウッド: チェック。

ジュノ: 司令部?

司令部: 聞こえている。エージェントが全員入場ポイントにいる事を確認せよ。

ジュノ: 確認。

司令部: 良し。では入場してくれ。向こうで危険を冒すようなことはしないでくれ、諸君が何を見ることになるか我々には見当も付かない。

ジュノ: 了解した。移動する。

MTF E-13がSCP-2935に入場。約15分間洞窟を通った後、チームはSCP-2935の反対側に抜ける。カメラが日光に合わせて調節された後、周囲の風景が映し出される。

アンダーウッド: なんてこった。

ケール: ああ、こりゃひでぇや。

司令部: 何が見えているか口頭で確認してくれ、リーダー。

ジュノ: ああ、うん…生きている植生が、完全に欠如しているようだ。木も、草も、皆枯れているように見える。

司令部: 気温は摂氏24度と表示されているが、これは正確か?

ジュノ: その通り。かなり快適だ。曇ってはいるが、それほど風は無い。

司令部: 了解。前進してくれ、チーム。何処か家屋を探してほしい。

デヴォン: このエリアは、私たちがさっきまで居た場所じゃないか?

司令部: 確認を試みているところだ。何か近くにあるものを特定できるか?

ケール: この尾根を登れば、多分そこに道路があるはずだ。俺たちが通ってきたやつがな。

ジュノ: そちらへ向かうとしよう。

チームが近くの尾根を登る。

ジュノ: ああ。道路がある。司令部、まだはっきりとは言えないが、予備的観測から言えば、ここは洞窟の反対側と同一の地勢を有しているようだ。

司令部: 了解。慎重に進んでくれたまえ。

ジュノ: 了解。

チームは近隣の道路上を北へ移動する。2kmほど進んだ後、チームは一軒の農家を発見する。家の外には車が2台止まっている。

ジュノ: 司令部、この先に家がある。調べに向かうつもりだ。

司令部: 了解した。チームリーダー、アンダーウッドに君が持っている通信リレーをセットさせてくれ。こちらでも信号に答えられるか試してみたい。

アンダーウッド: 分かりました、司令部、今セットします。

ジュノ: よし、行くぞ。

チームは農家の玄関先へ移動する。ドアに鍵はかかっていない。前室は空であり、エージェント ケールによって建物内の電気はまだ通じていることが確認された。エージェントらがキッチンへ移動。

デヴォン: おいっ、これは—

成人3名分の死体 ― 女性2名・男性1名 ― がキッチンのテーブルを囲んで腰かけている。男児1名の死体が近くに横たわっている。

ジュノ: 司令部、見えるか?

司令部: 見える。彼らに生命の兆候があるかどうかを確認できるか?

ジュノ: 分かった…男は死んでいる…右の女…左のも…子供…皆、死んでいる。つい最近のことに違いないな、腐敗の兆候は見られない。

ケール: かなり無茶苦茶なことになってきやがった。

デヴォン: テーブルの上に新聞がある。2016年、4月19日。ヘンドリック郡日報です。司令部、見出しの内容を確認してもらえますか?

司令部: ちょっと待ってくれ、チーム。

ケール: 見ろ、夕食だ。チキンにマッシュポテトにグリーンピースか。

司令部: 見出しを確認した。当日の同紙と正確に一致している。

デヴォン: 一体なんだっていうんだ…

ケール: 新鮮じゃないが、まだ—

デヴォン: 壁掛け時計は2016年4月28日を指しています。今日ですな。時間も同じです、0945。彼らはいつからここに居るんだ?

ケール: ボス、見てください。食い物です。

ジュノ: それがどうした?

ケール: 埃まみれです。彼ら—その、死体もそうです。長い間ここにあったんでしょう。でもこの食事は、皆古びてはいますが、腐ってないんですよ。あのチキンなんか今頃はカビに覆われててもおかしくないんです、でも何もない。分かりますか? ポテトもそうだ。

ジュノ: ああ、確かに。

司令部: チーム、少しサンプルを取って来てほしい。その食事と、室内の人物たちからだ。可能なら髪の毛、皮膚組織、流体など。室内に電化製品はあるのか?

デヴォン: 隣の部屋の机にノートパソコンが乗ってます。この女性のポケットにはスマートフォン、えー…ああ、電池切れしてます。

司令部: 回収してくれ。近くに他のメモなどないか探して、外へ持って来てもらいたい。そこの環境についてもっと良く知ることが出来るまで、君たちをあまり長く留めておきたくはない。

エージェント ケールが死体とテーブル上の食事から生物学的サンプルを回収する。エージェント ジュノは家の他の部分を探索しに行く。エージェント デヴォンが居間へ移動し、テレビを点ける。

デヴォン: テレビは動いてます。チャンネルを回してますが、テスト信号以外に大したものは…そんな、クソッ、隊長、来てください。

ジュノ: 何を見つけた?

デヴォン: 多分、その…通販だと思うんですがね。見てください。

テレビは通販番組のセットを映している。画面上には2名の人物が、片方は空の椅子の近くに倒れた姿で、もう片方はカメラと直に向き合った状態で映っている。どちらの人物も動かない。背景は炎上している。自動消火システムが起動しているらしく、赤い警告灯が画面外で光っている。画面下には常の如く日付が表示されている ― “2016/04/28”。

ジュノ: よし。ここを出ることにしよう。ケール、行くぞ。移動する。

チームは家を出て、通信リレーの設置を終えたエージェント アンダーウッドと合流。さらに15分後、MTF E-13はSCP-2935入場ポイントまで帰還した。現実世界へ戻る前に、エージェント ケールは研究のために近隣の植物からサンプルを収集する。

デヴォン: 貴方も気づきましたか、隊長?

ジュノ: 何がだ?

デヴォン: 中西部の夏場なんですよ。何か足りないと感じませんか?

ジュノ: どういう意味だ?

デヴォン: 聞いてください。何も無いんです。鳥の声、虫の声、車の走る音、何もかも。風だけです。恐ろしいほど静かじゃないですか。

[記録終了]

注: ミッション終了時、チームはSCP-2935アクセスポイントまで帰還した。しかしながら、チームはそのままSCP-2935内部に留まって前哨キャンプを確立し、MTF E-13の他メンバー合流を待つように指示を受けた。

ミッション概要: 財団サイト(サイト-81)へ到達し、財団サーバーから情報を取得し、そこに前哨キャンプを確立する。

担当機動部隊: 機動部隊イプシロン-13 “マニフェスト・ディスティニー”(16名)

追加情報: 以下は、MTF E-13による音声およびビデオ映像の転写である。エージェント ジュノおよびロイ率いる16名編成の回収チームは、SCP-2935内部で機能する車両を押収し、サイト-81へ向かうように指示を受けた。余分または関連性の無い対話は削除されている。完全な記録の閲覧はサイト-81管理部まで連絡のこと。

[記録開始]

余分な会話を削除。チームは数台の車両を発見し、サイト-81に向かって南下する。主要な道路は、SCP-2935内で事前に発生した全生命体の死亡時に走行していた車両がごく僅かであるため、通行が可能である。ハイウェイからは数ヶ所の火災が見えるが、うち3ヶ所は墜落したジェット機によるものである。交通事故現場の調査で一つの共通点が示された ― 全ての乗員は同時に意識を喪失したように思われる。この結果、大部分の車両が同時に停止し、数台の衝突が引き起こされた。

ブルーミントンに近づいた時点で、MTF E-13は2班に分かれた。片方の班(エージェント ロイ主導)は直接サイト-81へ移動し、もう一方の班(エージェント ジュノ主導)はサイト外部の“ディープ・ストレージ”サーバーバンクへのアクセスを試みる。このログでは簡潔にするため、エージェント ジュノ班の記録は省略されている。彼らの探査によって収集された情報は補遺2935.3にて閲覧が可能。

エージェント ロイ班が、モンロー湖貯水ダムの下部にあるサイト-81主要アクセスポイントへ到着。アクセス用エレベーターはまだ機能していることが確認され、チームは入場階まで下降する。

オルマン: ロイ。

ロイ: ん?

オルマン: 気になってたんだがね、あの日君たちが任務中だったのは分かるんだが、私は確か19日にはこのサイトにいたと思うんだ。

ロイ: 同じ事を考えてたよ。俺もあの日はここに居た。

オルマン: 我々がここに居ると思うかい?

ロイ: 直に分かるだろうよ。俺は一晩中、ファウストとモロッコと一緒に、兵器開発ラボで過ごしてた。中に入ってすぐ傍だ。

ダニエルズ: 君らは、聞いたか?

インディゴ: 何を聞いたんですって?

ダニエルズ: まさにそうだ。私たちはあの日、収容違反警報を聞いてなきゃおかしいんじゃないのか?

ロイ: そうでもない。違反警報は自動化されてるが、収容室が破られなきゃ作動しねぇんだ。それ以外の場合はマニュアルで起動する必要が出てくる。

ケラー: 緊急放送を開始するためには、誰かがオフィスに辿り着いてなきゃならない。

ロイ: あれは自動放送だぞ。俺だったら、生命反応モニターの反応がまっ平らになったせいで発動したという説に賭けたいところだね。

インディゴ: 生命反応モニターで緊急放送が作動したりしますかね?

ロイ: 一つだけなら作動しないが、山ほど止まれば話は別だろ。

オルマン: 着いたぞ。

チームはエレベーターを降りる。サイト-81のメインアクセスゲートが見える。全ての照明は引き続き稼働中。サイトが閉鎖状態にあることが視覚的に確認される。

ロイ: ケラー、ドアを開けてくれ。注意しろよ、皆。

エージェント ケラーがアクセス用コンソールに入力。閉鎖状態が解除され、メインゲートが開く。チームは所持品検査室を通り抜ける。

アリ: 目に見える危険は無し。

ロイ: よーし、野郎ども。まずはフロントオフィスから調べるぞ。右だ。

チームはサイト-81フロントオフィスへ入る。

インディゴ: そこら中に死体がありますよ。

ロイ: ああ、山ほどあることは予想済みだ。誰か見分けのつく奴は?

ダニエルズ: どうかな、かなり乾燥しているから…だがこいつはデジレ・クラークかな。それにマックス・ウェストミンスター。向こうにはジョン・キャビン…これはエリザ・ワトソン。全員、81のスタッフだ。

オルマン: そして恐らく、あの日に出勤していた職員というわけだ。

ロイ: 連中がオフィスのカレンダーにチェックを入れる時間帯を知ってる奴はいるか?

ストレート: 最初のシフトが来るまでは、チェックされねぇはずだ。現地時間の朝8時か?

ロイ: 理にかなってる。最後のチェックは4月19日。ケラー、もう一回システムにパッチを当てて、何が緊急放送を引き起こしたのか探してみてくれ。オルマン、お前とインディゴは向こうで休憩室の捜索を頼む。もしも…分からんな。

アリ: 隊長?

ロイ: すまん。クソッたれ。ただな、これは…こういうのは俺の予想とは違ってたんだ。もっと汚ぇことになってるとばかり思ってた。収容違反はいつだってそうだからな、だが今回は…

ダニエルズ: 綺麗だ。その、確かに彼らは死体になっているが、清潔な状態だ。流血は無いし、僅かに死後排泄物はあるが、もう今の段階では乾き切っている。何かの病気だったと思うかね?

ロイ: サンプルを採取しよう。表面を綿棒で擦って、インディゴのキットで微生物を確認する。ジュノ班が発見した家では微生物の痕跡すらなかったし、司令部はこれが各所で一致してるかを確かめたがってる。

インディゴ: 採取する時に表面を汚染しないよう気を付けてくださいね。スーツは着たまま、手袋は外さず、エトセトラ。

ロイ: よし、行くか。何か見つけたら無線連絡を頼むぞ。

オルマン: 了解。

エージェント オルマンおよびインディゴが休憩室へ移動。エリアの捜索中に他数体の死体が発見された。エージェント ケラーは再びサイト-81コントロールシステムにアクセス。エージェント アリ、ストレート、ダニエルズの3名は近くのカフェテリアでサンプルを採取するためにオフィスを出る。

ケラー: 見っけ。

ロイ: 何て言った?

ケラー: どうもシステムは…定期バイタル・チェックが行われた0400時に起動したみたいです。恐らく誤作動があった、というか、システムは誤作動だと解釈したんでしょう。最後のチェック以降、生命反応の送信機は全て反応を停止してます。

ロイ: それで収容違反警報が発令されたっていうのか?

ケラー: いや、俺はそうは思いません。多分最初は保守点検を促していたのが、システムコマンドに連絡を飛ばし始めて、その次に…サイト司令部? 反応が返ってこなければ、恐らくサイト-17にメッセージが届くでしょうし、それでも無視されれば…多分O5の監督評議会です。それが全部時間切れを迎えた後に、自動フェイルセーフが作動してサイトを封鎖し、助けを求める放送を始めた。そして待ったんです。

ロイ: 何を待ったんだ?

ケラー: 他のサイトからの連絡ですよ。或いは文字通り、誰でもいいから、職員でしょうね。レベル1クリアランスでも時間切れが理由の封鎖ぐらいは取り消せると思いますよ。でもあくまで仮定の話です、今まで一度もこんな状況を経験してないもんで。

ロイ: で、誰も答えなかったわけかい。

ケラー: 俺たちが数日後に聞き付けるまでは、誰一人。

ロイ: (沈黙) AIADは何をしてるんだ? アレクサンドラがこのサイトに配備されてるはずだろ、え? 多分まだここに居るはずだ。

ケラー: もっともです。(端末に入力する間、沈黙している) 案の定ですよ。“Alexandra.aic 起動中” 。良かった。起こしてきますよ。 (再びの沈黙) アレクサンドラ、聞こえます? (反応なし) アレクサンドラ、こちらジェームズ・ケラーです。起きてますか?

ロイ: テキスト打ち込みを試したらどうだ。

ケラー: (再び端末に入力) ダメです。表示上ではプログラムはまだ動いてるのに、反応が一切返ってこない。ちょっと他にも… (沈黙) うーん。ソーンも応答なしです。AIAD全員が沈黙してる。

ロイ: 妙だな。81の封鎖を俺たちが解除した以上は、他のサイトも解放した方が良いか?

ケラー:全サイトがここと同じ封鎖状態じゃないですか? だとしたら一部には、解除のために現地に直接行かないといけないプロトコルが間違いなくありますよ。サイト-27がそうです、あそこはかなり広いKeter棟がありますから。勿論O5評議会まで行けば、そういう形で封鎖を解除できるでしょうね。彼らが全てのサイトの保安体制を遠隔で解除できるのは分かってます。

ロイ: 評議会の場所を知ってるのか?

ケラー: いえ。貴方は?

ロイ: ノーだ。

オルマン: えー、隊長、わ…私たちは、今—

ロイ: 何処だ、オルマン?

インディゴ: 僕らは、兵器ラボです。

ロイ: ああ。

オルマン: ちょっとサンプルを集めるだけだ、その後、鍵を—

ロイ: いや、この目で確かめたい。今そこに行く。

エージェント ロイおよびケラーは、サイト-81兵器ラボへ移動。エージェント オルマンとインディゴがドアを入ってすぐの場所に立っている。

ロイ: さ、見せてくれ。

インディゴ: でも、隊長—

ロイ: この中にいるのは俺じゃない。俺が、俺なんだ。異常なモンの中で何が起こってるか心配するようなタイプだとでも思ったか? 俺たちは皆ありとあらゆるイカれたクソな出来事を、脳味噌やら何やらがぶっ飛ぶような場所を見てきたじゃねえかよ。自分自身の死体を見るぐらいじゃどうとも感じねぇよ。

チームが兵器ラボに入室。エージェント モロッコおよびファウストがベンチの傍に横たわっている。ロジャース博士の死体が射撃練習場に入るドアの近くに倒れている。部屋に他の人気は無いが、埃が積り重なっている。

ロイ: 何処だ?

エージェント オルマンはチームを射撃練習場のドアへ誘導する。射撃場には、部屋の反対側で床に横たわっている1体の死体を除き、何も無い。

インディゴ: 採取したサンプルの一部を、顕微鏡で観察する機会がありました。どのサンプルも細胞が100%死んでます。もっと徹底的な調査を行うためにはバイオサイトまで持ち帰らなきゃいけないんでしょうが、こんなの見るのは初めてですよ。

ロイ: まぁ、そうだろうな。

エージェント ロイは、エージェント ロイの死体を見下ろして立ち止まる。彼が屈んで死体を引っ繰り返すと、エージェント ロイが当日に試験していた火器が見える。

インディゴ: 彼らは…明らかに腐ってませんし、他の何も発生していません。臭いも辛うじてする程度です。死後に身体を分解する生物学的なプロセスはどれも働いてないようでして…まぁ、その過程のどこかが生物学的に働くことを止めてしまったんでしょう。だから死体はただ乾燥してるだけです。

ロイ: 成程な。 (沈黙) これは覚えてるぞ。この武器を試験してたのはほんの少しの間だったんだ。恐らく監視映像を見れば、こいつがいつ起きたかを突き止められるはずだ。それが…他の全ての出来事と、一致しているかどうかも。

オルマン: 了解。

ロイ: OK、それでだ。次は上級スタッフの様子を見に行くことにする。アクタス博士は9時には寝るタイプだから、多分自室にいるだろうな。

ストレート: もう確認してきた。逝っちまってたよ。他の上級スタッフもだ。ハミルトン博士、ラブ博士、カーストン博士。マン博士は外出中だったな、19日のセミナーのために町にいるんだろう。他と同じく、皆、死体になってた。それ以外は全く綺麗なもんだったが。

ロイ: 俺たちも今から見に行くよ。ケラー、あの端末で、収容棟に俺たちが入れるか確かめてくれ。あそこの…何だ、あそこから何も外に出てないのをはっきり確認したい。

ケラー: 了解です。

エージェント ケラーが近くの端末へ移動。エージェント インディゴは、エージェント ロイの死体からサンプルを採取する。エージェント ストレート、アリ、ダニエルズは他の場所でサイト-81上級スタッフの死体を検査し、必要に応じてサンプルを採取すると共に、現実世界で調査するための物品を収集する。

アリ: ここから帰ったら、私たち皆、記憶を消されちゃうような気がしませんか?

ダニエルズ: 何故?

アリ: これは情報セキュリティの重大な違反になりかねないでしょう。つまりその、ほら、今ここでアクタス博士の箪笥の引き出しを開けたら、ボクサー派かブリーフ派かが丸分かりじゃないですか。例え偶然にせよ、私たちが他に何を知ってしまうか分かったもんじゃない。

ロイ: 上級スタッフは自分のサイトにいるスキップの役立つ知識なんかそれほど持ってねえぞ、信じようが信じまいが。重要な情報ならネットワーク上でロックされてるし、それこそ本当に重要ならビニル掛けして他所に保管してある。何であれ、博士の日誌をこっそり詮索するような真似はしなくていい。(沈黙) そうだな、日誌は持って帰ろうか。見つけたら回収してくれ。損は無い。

アリ: でも記憶処理はあります。

ストレート: どっちにしたって知ることは出来ねぇってわけさ。

ケラー: アクセスできました、隊長。見た感じは…全て大丈夫そうです、でも何ヶ所かは手動で確認する必要がありますね。ここからは開けられません。理由は単純明快ですが。それと…

ロイ: どうした?

ケラー: これなんですが…自分でも何を見てるのかよく分かりません。暗号化された保安警報ですけれど、自動的に発動してはいない。誰かが後からここに入れたようです。

ロイ: 追加されたのはいつだ?

ケラー: 約3日前。だから間違いなく、俺たちの予想してる異常発生日時より後のことです。バグの可能性もあり得ますが…

ロイ: ますが?

ケラー: ちょっと考えられませんね。この手のブツは普通に出てくるもんじゃないですよ。フェイルセーフが過剰なぐらいありますから、システムは絶対に必要でない限り暗号メッセージなんか投げません。

ロイ: 或いは、誰かが手動でそれを仕込んだか。

ケラー: (沈黙。映像・音声機器が少しだけ途切れる。)

ロイ: だな?

ケラー: です。

ロイ: 記録してジュノ班に送信しろ。向こうには現実世界への中継点がある。送れるかどうかやってみよう。

ケラー: 了解。 (沈黙) たった今、ジュノ班からメッセージが来ました。あちらの探索は終了したようです。少しだけ、こちらの様子を見に来るつもりとのことでした。

ロイ: 分かった。なら、次は下に向かう。スキップどもが何をしてるか見に行くぞ。

チームは職員寮の外に集合し、下層アクセス用のエレベーターへ移動。チームは第一収容階に到達する。

ロイ: 冷静にいこうぜ、野郎ども。

オルマン: 誰かに見られているような気がするよ。

ダニエルズ: 私も感じる。嫌な気分だ。

ストレート: 何か妙なモンがここに居やがる。

ロイ: 俺たち7人だけだよ。顔は真っ直ぐ上げろ。進むぞ。

チームはSafeクラス収容室のチェックを開始する。

インディゴ: SCP-2151。デカい肉の塊みたいなやつです。

ロイ: ドアを開けろ。

エージェントらがドアを開ける。

ストレート: 居たぞ。隅の方だ。

オルマン: 動いたか? 身動きしているようだぞ。

ロイ: とんでもなく軽くなってるからだよ。すっかり乾いちまったんだ。

エージェント インディゴがSCP-2151-1Aを調べる。

インディゴ: ええ、死んでますね。あのチャンバーを調べてください、中に指輪があるはずですよ。

ダニエルズ: 中にあった。だが完全に変色している。こっちの方には錆が生えてるじゃないか。

ロイ: 袋に入れとけ。移動するぞ、次は?

ケラー: 通路の終わりに変位室がありますから、次はそこを調べましょう。女の子の幽霊が収容されてます。

ロイ: 見てみよう。

ストレート: 待て、この収容室は明かりが付いてる。なのに指定番号タグはねぇぞ。

アリ: うわっ、この臭いは何です? この部屋から来てるんですか?

ダニエルズ: 死の臭いといった風情だな。うっ、かなりキツイぞ。

ロイ: あのドアは開けられるか、ケラー?

ケラー: ちょっとお待ちを…えー、おかしいですね。何か引っ掛かってるようです。きっと故障でしょう。

ダニエルズ: 窓を開けるんだ、そこなら何も引っ掛か—

アリ: (窓を開ける) 何てこった、こいつは腐敗してますよ。

ストレート: マジかよ、確かにその通りだ。何でこれだけがこうも違うんだ? こいつ誰だ?

アリ: ジャケットに名前があるはずです、待って…冗談でしょう。ケラー、これ、貴方です。

ケラー: 確かですか?

アリ: ええ、エージェント#1703。名前のバッジは、あー…汚れてます…でもこちらの襟に書いてあるIDナンバーは見えますね? 一体貴方に何があったっていうんですか?

ケラー: 俺…正直言って、分かりません。19日にも20日にも、俺は確実にこのサイトにはいませんでした。

ストレート: かなり不気味だ。

ロイ: (沈黙) ここにはまた後で戻って来よう。先に進む。

チームはSCP-2996の収容室に移動する。

ストレート: なぁ、あそこのスキップは確か—

ダニエルズ: ああ。

ストレート: あの一件はちゃんとカタが付いたのか?

ダニエルズ: いいや、私の知る限りでは。

エージェント ストレートが収容室のドアを開ける。

インディゴ:クソッ。

ロイ: 変位室はまだ機能してるか?

ケラー: そのようです。

アリ: じゃ、収容室の中一面に飛び散ってるアレは?

インディゴ: 答えなきゃいけないのなら、例のゴーストガールでしょうね。

ダニエルズ: 爆発したのか?

インディゴ: 多分、2回死ぬっていうのは有害な反応が伴うんでしょう。

ロイ: 収容室には入れるか?

ケラー: お勧めできません。俺たちのスーツはあの中の何かには対応していません。ここの清掃時に着ないといけない防護服はもっとバケモノじみてます。

ロイ: 了解した。他を確認しよう。

チームは収容室のチェックを続行するが、全ては似た結果に終わった。全ての生物学的な異常実体は死亡したことが証明され、非生物学的なオブジェクトないし実体は不活性化している。さらに1時間の調査継続。

インディゴ: ちょっと気になることがあるんです、隊長。

ロイ: うん?

インディゴ: 何ヶ月か前に、メモを受けとりました? 例のスキップをサイト-19に移送する件について…

ロイ: トカゲか? ああ、俺はあの任務に割り当てられてたんだよ。

インディゴ: あれは移送中に81を経由しましたか?

ロイ: したな。ほんの数日間だが。

アリ: 待って、トカゲって一体…?

インディゴ: いつの事ですか?

ロイ: (沈黙) 地下だ。来い!

チームは最下層の収容階へ移動する。エージェント ケラーは収容棟の封鎖状態を解除。収容室はEuclidおよびKeterクラス実体のためのものだが、大部分は空室である。

オルマン: あのクソトカゲをここに移動しておいて、サイト職員に何も伝えなかったのか?

ロイ: 必要不可欠な職員のみだ。知れば、スタッフが緊張する傾向がある。

ストレート: 実に不思議ですなぁ。

ロイ: 黙ってろ。この角を曲がったすぐ先に ― あったぞ。

チームはある収容室に向き合っている。緑色の表示灯が付いており、収容室がまだ機能していることを示している。

ロイ: ドア開けろ、ケラー。

アリ: ちょっと隊長、待ってください。もし私たちがドアを開けてアイツがまだ…分かるでしょう。それがいつもの流れです。もしそうなったら—

ロイ: 皆殺しだな。分かってるさ。(ケラーを身振りで促す)

エージェント ケラーが、セキュリティドアを開ける。チームが収容室に入室。室内には巨大な鋼鉄のコンテナがあり、その上には酸のタンクと、その他の収容指向機器が数機乗っている。

ロイ: 入口は、あそこだ。

ストレート: なぁロイ、俺たちはな—

エージェント ロイがコンテナの扉を開く。

インディゴ: え—

アリ: どうして?

ダニエルズ: そんな—

コンテナの中に、SCP-682の死骸が見える。対象は生命の兆候を示していない。

ストレート: 有り得ねぇ。絶対に有り得ねぇ。こんな馬鹿な事があるわけ…

エージェント インディゴが死骸に接近し、調査を開始する。程なく、彼は戻ってくる。

インディゴ: ええ。死んでました。

チームはしばらく沈黙する。エージェント アリが手で顔を覆う。

ロイ: なぁ、俺も突然ここが薄気味悪くなってきやがったよ。地上に戻ろう。

インディゴ: サンプル採取、してきましょうか?

ロイ: 後回しだ。

チームは地上に帰還。道中の口数は少なかった。エージェント ジュノ主導のチームと合流の後、両チームはSCP-2935アクセスサイトに自動化されたドローンを派遣し、収集した物品および情報を現実世界へ解析のために送り届けた。

[記録終了]

ミッション概要: SCP-2935内部のサイト-19まで移動し、状況を確認する。

担当機動部隊: 機動部隊イプシロン-13 “マニフェスト・ディスティニー”(16名)

追加情報: 以下は、MTF E-13による音声およびビデオ映像の転写である。エージェント ジュノおよびロイ率いる16名編成の回収チームは、SCP-2935内におけるミッションの範囲を拡張し、サイト-19まで移動するように指示を受けた。

[記録開始]

MTF E-13チームに配備された記録機器の技術的問題によって、通信リレーまで送信された音声記録は1つのみだった。問題の記録機器はエージェント ケラーの装備品であり、計6日間の遠征期間中に断続的に音声を送信し続けた。1日目の終了後、司令部はリレー経由でエージェント ケラーに通信状況を通知した。エージェント ケラーはこのメッセージを受信したと想定されているが、断言はできない ― エージェント ケラーはミッション期間中、通信機を修理する試みを行っていないためである。以下はエージェント ケラーの音声通信からの抜粋である。

ケラー: ここから南西の方です。

ケラー: ちょっと待った。

ケラー: ようやく着きましたよ。

ケラー: システムメッセージがどっさり届いてます。殆どのサイトが自動で19に支援連絡を取ろうとしていたみたいですね。一部のサイトなんかは…俺は名前を聞いたことも無いです。特にこの—

ケラー: 81での送信と同一です。

ケラー: ええ、でもここでは1時間ごとのチェックはしてないです。数秒おきですよ。

ケラー: 時刻は0113、つまり東部標準時で 0313時。俺たちの予想するタイムテーブルと一致してます。

ケラー: 電力障害です。誰も燃料電池を交換しに降りてこないんで、多分それを使い切って新品が来るのを待ってるんでしょう。それまで照明抜きです。

ケラー: そっち方面の技術者じゃなくて済みませんね。

ケラー: ここを下ればホールのはずです。

ケラー: うん、死んでいます。(沈黙) 俺がこうして未だに立ってるっていう事は、もうこれの機能は無くなったんでしょう。皆も触ってみてください。

ケラー: 回収。ステッカーを貼ってください、もうその首飾りに力が無い事を外にも知らせないと。

ケラー: 待った。

ケラー: ドア、開きます。(沈黙) これは多分、シメリアン博士だったんでしょう。 (遠くでエージェント ストレートの「間の悪い場所に立ってたもんだ」という言葉が聞こえる。) すごく控えめな言い方ですよね、それ。

ケラー: ちょっと問題が生じてて ― ここから下では、通信状態が悪化します。

ケラー: 壊れてます。さっきの仮面と同じだ。

ケラー: (笑い) 瞬きしたって大丈夫ですよ。もう平気です。

ケラー: (独り言) ハロー…SCP-079。起きてますかー? (沈黙) 返答無し。答えが無いのが答え、と。

ケラー: 何を予想してたんです?

ケラー: ドローンが来てますね。アクセスポイントにこれを持ち帰らせますよ、すぐに戻ってきます。

ケラー: (数分間、エージェント ケラーがキーボードを素早くタイプする音が続く。これ以前の通信と異なり、背景音には他のエージェントの声が聞こえない。)

ケラー: 知っておくべき他のメッセージが来てるか、ちょっと確認してただけですよ。(沈黙) いえ、普通でないものはありませんでした。先に進みましょう。

ケラー: 少なくとも貴方はまだ綺麗です。マン博士なんか、階段を顔から転げ落ちてました。

ケラー: 全員、死んでいます。一人残らず。どうしてまだ分からないんですか? 俺たちはただのクソ忌々しい回収任務をやってるわけじゃない。救うためにここに居るんじゃないんです。ここには救いを待ってる奴なんかいない。俺たちが集めた証拠は、皆が、(沈黙) そう、皆がです。皆が死んでいるという事を示してる。財団のサイトは全てが同一の通信エラーを起こして封鎖されている。ここだけじゃない、全世界です。掩蔽壕に避難した者もいないでしょう ― 誰もが死んだんだ!

ケラー: でも此処は俺たちの世界じゃない。他の誰かの、です。俺たちのは…安全です。何も俺たちの世界には起きていない。

ケラー: そこは、使用済み燃料棒を排出する電力コアです。電源を切ってください。

ケラー: 緊急違反プロトコルが発動したのか、そんな—

ケラー: ドアがロックされてます、ジュノ。俺にはどうにもできない。

ケラー: すみません。何か考えだします。

ケラー: 司令部、こちらケラー。19の、その…核弾頭が起動状態に入りました。俺たちはここに閉じ込められてて、で…ケールが、アニタに愛していると伝えてほしいと。それとダニエルズがフロリダの家族に、自分は元気でやってるから皆も逞しく生きてくれと。ロイもです、子供たちに…あとは察してください。

ケラー: いえ。スピーカーの電源が喪失しただけです。

ケラー: 俺たちはもう、終わりなんですよ。

ケラー: 俺は— (通信が唐突に途切れる)

[記録終了]

ミッション概要: SCP-2935世界の全体的状況を評価するため、MTF E-13によるサイト-19の偵察と並行して、自動化されたドローンを飛ばす。

担当機動部隊: N/A (自動ドローン1機)

追加情報: 以下は、SCP-2935アクセスポイントからサイト-81職員が飛ばした自動財団ドローン(SKF-1951)による音声およびビデオ映像の転写である。予定されていたミッションはSCP-2935に関する情報を収集すること、並びにMTF E-13と接触して回収されたアーティファクトとデータを持ち帰ることであった。

[記録開始]

ドローンはアクセスポイントから近くの道路上へ移動し、そこを滑走路として離陸。高度3kmまで上昇する。この高さからは周辺環境が明瞭に視認できる。辺り一面からあらゆる形態の生物学的生命が完全に欠如している。多くの樹木が恐らくは突風によって倒れており、砂と土埃の大規模な吹き溜まりが道路や住宅に沿って形成され始めている。西では嵐が起こり、東へ移動している。ドローンは東のインディアナポリスへと移動。

MTF E-13が前以て確認したように、週間高速道路70号線には、時折セミトレーラーが見える他は、交通量が殆ど無い。乾燥した植生や近隣の町では、幾つかの大規模な火災が発生している。遠くにインディアナポリス国際空港が見える。巨大な煙の柱が少しの間カメラを遮り、これは通過後に、墜落したサウスウエスト航空737ジェット旅客機起源のものであることが分かる。

インディアナポリスへ近づくと、市街は比較的ダメージを受けていないことが分かる。数件の小火が起こったようだが、既に燃え尽きているか、雨で消えたようである。西部地区に近い一棟のアパートが倒壊しているが、大部分の建造物は無傷のままである。

ドローンは北に転進してサイト-19へ移動。インディアナ州の中央北部を通過すると、概ね同じような光景が明らかになる ― 枯れた植物、土埃と砂の吹き溜まり、農業地域には動物と家畜の死骸。人間の死体も散見されるが、大部分は家屋内に留まっていると思われる。

カメラ映像が途切れる。司令部はドローンとのリンクを再確立できなかったが、これは予想されていなかった事態ではない。ドローンは、恐らく嵐によって通信が途切れたまま、サイト-19に向かって自律飛行している。

ビデオリンク再確立。ドローンは雷雨の真っ只中を飛行している。僅かに映像のブレ有り。近くで落雷が発生し、映像が再び途切れる。

半時間後、ビデオリンク再確立。ドローンは降下を始めている。GPSはドローンがミシガン州ランシングの北西およそ35km地点、即ちサイト-19に近づいていることを示す。遥か北西に大規模な火災が見える。下方ではミシガン州立大学のスパルタン・スタジアムに別なジェット機が墜落しており、大学のすぐ北側を流れるレッドシダー川に火災が広がっている。

ドローンは最終的降下を開始し、サイト-19の建造物に接近。サイト-19を確認した後、ドローンは職員寮アクセス棟の近くにあるNE滑走路に着陸した。ドローンはMTF E-13に座標を送信し、ソーラーパネルを展開して休止状態に入る。

5時間が経過。ドローンはエージェント ケラーによって再起動され、エージェント ケラーはドローン下部に収集したアーティファクトの包みを積み込む。エージェント ケラーの無線は、チームからの通信を受信しているようだが、その内容は聞き取れない。最後に、エージェント ケラーは回収チームのハードドライブから相当量のデータをドローンにアップロードする。

エージェント ケラーは主要観察カメラの前に屈み込む。彼は手袋の甲でカメラを綺麗に拭った後、カメラを凝視する。

ケラー: 俺は答えを持っていません。初めからそれがあるとも思っていません。俺は今から為すべきことをして、それが全てを正すことを願うのみです。(沈黙) ここを封印してください。こいつを、俺たちと一緒にここに閉じ込めてやってください。すみませんでした。

エージェント ケラーはドローンから離れ、アクセス棟へ戻る。10分後、ドローンはSCP-2935アクセスポイントへ帰還を始める。

離陸から約2時間後、ドローンはサイト-19の方角で大規模な爆発を検出する。現地の核弾頭が起爆したことを示すキノコ雲が、地平線の彼方に見える。

これ以外には、帰還の道中には何事も起こらなかった。ドローンは問題なくSCP-2935の現実世界側へ帰還。アーティファクトとデータはサイト-81へ調査のために移送された。

[記録終了]

補遺2935.3: MTF E-13のミッションで回収されたデータとアーティファクト

注: 以下は、MTF E-13による計3回のSCP-2935探索ミッションで回収された物品のリストである。一部は省略されているため、完全版の回収アイテムリスト閲覧はサイト-81研究部門にて。SCP-2935から回収されたデータについての情報は、この補遺の下部に設けられた追加のセクションを参照のこと。

回収済みアーティファクト:

アーティファクト 回収地点 概要 追加情報
様々な植生のサンプル SCP-2935アクセスポイント 全ての標本は激しく乾燥しており、生きている細胞が残存していないことが確認された。 N/A
様々な虫の死骸、数匹分 SCP-2935アクセスポイントの近隣 全ての標本は乾燥しており、生きている細胞が残存していないことが確認された。 N/A
2016年4月19日付の“ヘンドリック郡日報”紙 “ガントレット”で探索された家 埃にまみれている。微生物その他の生きた生物学的要素の兆候なし。 N/A
成人男性の髪および皮膚サンプル “ガントレット”家 完全な細胞死状態。 N/A
成人女性の髪および皮膚サンプル “ガントレット”家 完全な細胞死状態。 N/A
成人女性の髪および皮膚サンプル “ガントレット”家 完全な細胞死状態。 N/A
男児の髪および皮膚サンプル “ガントレット”家 完全な細胞死状態。 N/A
成人女性の死体から回収された携帯電話 “ガントレット”家 白のサムスンNote 5スマートフォン 最後のメッセージ受信されたのは2016年4月19日の2041 EST。内容は“まだ今晩トランプする予定? スティーブンの面倒見なきゃだけど、たぶんあの子は早めに寝ると思う。”
様々な食品 “ガントレット”家 乾燥して埃に覆われているが、腐敗の兆候は無し。分析の結果、回収されたどの食品にも微生物は発見されなかった。 N/A
アーティファクト 回収地点 概要 追加情報
卓上カレンダー サイト-81 サイト-81のフロントオフィスで使われていた、デスクトップ型のカレンダー。最後にチェックが付いた日時は2016年4月19日。薄く埃の層に覆われていた。 N/A
サイト-81フロントオフィスの職員らから採取した皮膚サンプル サイト-81 全てのサンプルは完全な細胞死状態にあり、微生物が残存していないことが確認された。 N/A
サイト-81射撃練習場から回収された各種の銃器 サイト-81 人間の手脂の痕跡は残っていたが、微生物は残存していない。 N/A
SCP-2151-1Aの肉片のサンプル サイト-81 肉片サンプルは反応を示さない。更なる解析で完全な細胞死が判明した。 N/A
アクタス管理官が所有する革表紙の日誌 サイト-81 当日までのアクタス管理官が使っていた個人的手記と一致する。 内容に逸脱は見つからなかった。保管庫へ移動。
SCP-2151-Aおよび-B サイト-81 どちらのオブジェクトも激しい腐食が進んでいる。その後の実験で、両実例は既に異常性を保持していないと結論付けられた。 両方とも保管庫へ移動。
アーティファクト 回収地点 概要 追加情報
サイト-19職員の皮膚および髪のサンプル サイト-19 サンプルはこれ以前に回収されたものと一致する結果を示した。 N/A
SCP-963 サイト-19 不活性状態。 このオブジェクトを保有していたジャック・ブライト博士個体は、SCP-2935内部で発見された他の死体と一致する状態にあった。
ダライアス・ヘムズワース博士が所有する破損した腕時計 サイト-19 腕時計としては最早機能しない。 0313 ESTにヘムズワース博士が昏倒した際、動かなくなったとみられる。
緑と赤の着色が施されたコンクリートおよび鉄筋の欠片 サイト-19 不活性状態。 このアーティファクトの起源は不明確である。

回収済データ:

データ回収元: サイト-81由来の自動緊急応答信号。SCP-2935の発見に繋がった。

これはSCP財団および貴方がたの国の政府からの自動放送です。私たちのサイトの1つ以上が通信断絶状態にあり、不明な規模の収容違反が発生した可能性が濃厚です。収容チームが封じ込めを再確立するために活動している間、全ての市民は屋内に留まってください。このメッセージは2016年4月20日から— (メッセージは唐突に途切れ、ループする)

データ回収元: サイト-81由来の救難信号のログ。

0313 - 大規模通信エラー発生、保守点検求む

0314 - 大規模通信エラー発生、保守点検求む

0315 - 大規模通信エラー発生、収容違反の可能性あり、保守点検求む

0316 - (サイト-81司令部に) 大規模通信エラー発生、応答求む

0321 - (サイト-81司令部に) 大規模通信エラー発生、応答求む

0326 - (サイト-81司令部に) 大規模通信エラー発生、封鎖プロトコル発動。当サイトは10分後に封鎖されます

0331 - 当サイトは5分後に封鎖されます

0335 - 当サイトは1分後に封鎖されます

0336 – サイトの封鎖が完了しました。応答求む

0400 - (サイト-17司令部に) 当サイトにて大規模通信エラーが発生中。封鎖プロトコルが発令されました。応答求む

0500 - (監督評議会に) 大規模通信エラーにより、複数のサイトが応答せず。封鎖プロトコルが発令されました。応答求む

データ回収元: サイト-19内部および外部の監視カメラ映像

映像はSCP-2935事象が発生した瞬間を捉えている。正確に東部標準時03:13、映像は、カメラ視点上の全サイト職員、およびサイト-19周辺の植物・動物が唐突に死亡する様を映し出している。これ以外の現象は映像からは明らかになっていない。

データ回収元: サイト-81から回収された、暗号化された保安警報。復号化によって、音声記録ファイルが隠されていたことが判明した。当該ファイルの転写は以下の通りである。

オーケイ、始めます。俺の名前は…いや、(笑い) そんなのは大したことじゃないですよね。俺は…かつては…サイト-81のスタッフでした。これを聞いている誰かさんはここで何が起こっているかを薄々分かってるはずなので、俺の方から財団について説明する必要は無いでしょう。でも、他の事柄については…

何でしょう、かなり自明のことじゃないですかね? 全く…これを記録しているのは、今…21時36分、東部標準時…4月26日。俺はどうにか自動封鎖やら何やら解除して81に帰還できました、それで…ご覧の有り様です。

何か説明が付けられればいいのに、と思います。もし…もしまだ出血してなければ、俺は夢を見ていると思ったでしょう。実際、これは夢だったんだという夢を見てましたよ。でも目を覚ましたら俺は未だにここに居ました、ここに…一人きりで…そして皆が死んでいる。

俺は、ジョッパの、70号線を少し離れた場所で検出された信号を確認するために派遣されました。ちょっとした探索任務で、俺が現地に一番近かった。俺はそこに駆けつけて、そこに…洞窟を見つけて…その反対側は、さっき離れたばかりの場所と同じようでした、でも—

でも、そこはこの世界です。俺が辿り着いてしまったこの世界なんです。草も、鳥も、物が色々と空から落ちて来て、水の表面には黒い物が浮かび上がっていました。人々はそこら中で、立っていたはずの場所に倒れ込んでいました。そして、静けさが、悍ましいほどの沈黙がありました。と…鳥たちだけじゃない、虫の ― 虫の声すら…ただ風ばかりで、他には何も聞こえなかった。

俺は自分が見た物を報告するために帰還しました、そして…

俺は答えを持っていません。初めからそれがあるとも思っていません。正確な言葉で語る事すら出来ません。この世界は、俺が洞窟の中で見た世界とは違います。人々は動き回り、日付も異なり、全てが違う世界だった…だって此処は俺の世界、俺が離れた世界なんだ! ここには ― 俺の家族が、友人たちが此処にはいたんです。でも今は…

終わりました。全てが死に絶えました。邪悪な魔法も、超自然の星も、未来の光線銃も、偽物の真空装置も…何も残っていません。それらは何一つ、問題では無くなった。俺たちがやってきたことは何の意味も無くなった。何もかも終わったんです。

何かが…何かがあの洞窟の中に居たんだと思います…そしてその何かは、俺の後に続いてあそこから出てしまった。そこを出るために、そいつ自身を運ばせるためには俺が必要だったんでしょうね。そいつを解き放って、俺の世界に…こういう事をさせるために…

多分、俺です。俺が原因です。俺は多分…“死”になった。もし、それがあの洞窟の中にいて、俺がそいつを持ち帰ってしまったのなら、もう俺は死です。

俺は…収容室に立て籠もって、このクソ忌々しいドアを目詰まりさせました。今から眉間に銃弾をブチ込むつもりです。他の皆が死んでしまったんだ、一つぐらい増えたってどうってことないでしょう?

ただね、ふと思ったんです…もし誰かがこれを聞いているのなら…

貴方もきっと、死になってます。

ページリビジョン: 3, 最終更新日時: 22 Jul 2016 13:34
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