nn5n Foundation
Branch of SCP Foundation
nn5n: scp-1489-JP 箱の中では妖精さんが頑張ってる
EuclidSCP-1489-JP 箱の中では妖精さんが頑張ってるRate: 48
SCP-1489-JP
blank.png

アイテム番号: SCP-1489-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1489-JPに関する情報は財団のウェブクローラーによって常に探索され、発見され次第消去されます。SCP-1489-JP-Aまたはそれによって発生したSCP-1489-JP-Bが発見された場合は、速やかにSCP-1489-JP-Aの身柄を確保し、記憶処理を行ってSCP-1489-JP-Bが消失したことを確認次第解放します。

説明: SCP-1489-JPはインターネット上に存在する異常なウェブページです。当該ページは「箱の中では妖精さんが頑張ってる」という文章が中央に表示されているのみの簡素なものであり、特殊なスクリプト等も確認されていません。SCP-1489-JPに表示された上記文章を視認した人物(以降SCP-1489-JP-A)の認識している、筐体を持ち内部構造を視認できない機器類は、その内部構造が小型の人型実体(以降SCP-1489-JP-B)に変化します。SCP-1489-JP-Aは、記憶処理によってSCP-1489-JPに関する記憶を除去される事で特異性を失います。

SCP-1489-JP-Bは外見的には、人種・性別を特定できない幼少期のヒトの姿を取り、ヒトにおける凡そ10歳程度の知能を有していると考えられています。SCP-1489-JP-Bは、自身の行動を妨げる物体をすり抜ける、置換元の機器類の持っていた機能を部分的に再現する等の様々な異常性を見せますが、SCP-1489-JP-Bは専らこの異常性をSCP-1489-JP-Aと交流する事に用います。SCP-1489-JP-Bの存在はSCP-1489-JP-Aの認識に左右されていると考えられており、何らかの原因でSCP-1489-JP-AがSCP-1489-JP-Bに対する認知を失った時点でSCP-1489-JP-Bは変化元の内部構造へと再置換されます。

インタビュー対象: SCP-1489-JP-B

インタビュアー: ████博士、SCP-1489-JP-A(D-4001)

付記: 記録はSCP-1489-JP-AによってSCP-1489-JP-Bが出現する段階から行われた。記録装置は実験室内からでは視認不可能な場所に設置された。異常性の対象となる機器類はデスクトップ型のコンピューター、キーボード、マウス、モニターである。

<再生開始>

████博士: ではSCP-1489-JP-A、実験室に入室して下さい。

[SCP-1489-JP-Aが扉をあけて室内に入る]

SCP-1489-JP-A: D-4001の次はそれかよ、ころころ他人の名前を弄りやがって。で、何すりゃいいんだ。

████博士: こちらを見てください。

[████博士は机上のコンピューターを指し示す]

SCP-1489-JP-A: [数秒の沈黙]これがどうかしたか?

████博士: しばし待って[コンピューターがひとりでに揺れる]おっと、早速ですね。

SCP-1489-JP-A: な、なんだ?

[揺れが収まり、筐体を通り抜ける様にして4体のSCP-1489-JP-Bが出現する。体長は15cm程。続いてキーボード、マウス、モニターでも同様の現象が発生し、計██体の様々な体長のSCP-1489-JP-Bが出現した]

SCP-1489-JP-A: うわっ、なんだコイツら。

[出現したSCP-1489-JP-Bは周囲を見回していたが、やがてSCP-1489-JP-Aの存在に気付くと全員がそちらに向き直る]

SCP-1489-JP-B: ヒト、発見。

SCP-1489-JP-B: 妖精さんに気付いたヒト、発見。

SCP-1489-JP-A: しゃ、喋った。

████博士: こんにちは。もしあるのなら、貴方方の名前を教えて下さいませんか?

[SCP-1489-JP-Bは████博士の発言に対して反応を見せない]

████博士: SCP-1489-JP-A。SCP-1489-JP-B、つまりこの小人に名前を尋ねて下さい。

SCP-1489-JP-A: え?ああ、えーと、お前ら名前なんていうんだ。

SCP-1489-JP-B: 無い。

SCP-1489-JP-B: 妖精さんに名は無い。

SCP-1489-JP-B: 与えてはならない。

████博士: ふむ、SCP-1489-JP-A、恐らく彼らは貴方の言葉にしか反応しません。これから幾つか指示を出しますので、その通りに話しかけて下さい。

[以降、本記録において████博士が指示する発言は省略する。また、この時████博士がコンピューターの筐体内を確認した所、内部に存在するはずのパーツ類が欠けた状態である事が確認された]

SCP-1489-JP-A: お、おう。えーと?妖精ってのは本当なのか?

SCP-1489-JP-B: [強調した口調で]妖精さん。妖精さんは妖精さんなので嘘を吐かない。

SCP-1489-JP-B: 正しい事は疑われない。

SCP-1489-JP-B: 疑われない事は正しい。

SCP-1489-JP-A: よく、分かんねえや。で、次はー、お前ら、どうやってコンピューターん中にやってきたんだ?

SCP-1489-JP-B: 妖精さんは妖精さんなのでずっとここに居る。

SCP-1489-JP-B: ここに居て妖精さんをやっている。

SCP-1489-JP-A: もうちょっと噛み砕いて言ってくれよ。

SCP-1489-JP-B: 妖精さんは箱の中で頑張る。

SCP-1489-JP-B: 妖精さんが頑張っているので箱は働く。

SCP-1489-JP-A: うーん、じゃあよ、どんな風に働いてんのか見せてくれよ。

SCP-1489-JP-B: こう。

[SCP-1489-JP-Bが相互に手を繋ぎ合う]

SCP-1489-JP-B: 気付いたヒト、妖精さんに触れて。

SCP-1489-JP-A: [整列した小型のSCP-1489-JP-Bを指差して笑う]お前ら、それキーボードのつもりか?押せばいいのかこうやって。

[SCP-1489-JP-Aが整列するSCP-1489-JP-Bの1体を指で押すと、手を掲げた大型のSCP-1489-JP-Bの頭上の空間に、「s」の文字が現れる]

SCP-1489-JP-A: え?マジかよ、すげー。博士、色々試してみていいか?

████博士: [数秒、沈黙]そうですね、自由に試してみて下さい。

[SCP-1489-JP-AがSCP-1489-JP-Bをタイピングしていくが、数行ほど文章を入力した時点で突如入力を受け付けなくなる]

SCP-1489-JP-A: あれ?[SCP-1489-JP-B集団を見回す]あっ、お前、よそ見してちゃダメだろ。

[キーボードを構成しているSCP-1489-JP-Bに触れている大型のSCP-1489-JP-Bを小突く]

SCP-1489-JP-B: [数秒、無言]つい。

SCP-1489-JP-B: 妖精さん、妖精さんの仕事を忘れてはいけない。

SCP-1489-JP-B: ごめん。

SCP-1489-JP-A: 適当に打ってるだけだぞ、そんな夢中になる程面白かったのか?

SCP-1489-JP-B: 妖精さんは妖精さんなので、気付いたヒトが気付かない限り箱の中。

SCP-1489-JP-B: 妖精さんなので、妖精さんが頑張る箱の外は全て妖精さんの知らない世界。

SCP-1489-JP-A: お、おう。なんか不憫な奴だな、俺が言うのもなんだけど。

████博士: さて、SCP-1489-JP-A、今日の所は実験を終了しましょう。

SCP-1489-JP-A: えー、結構面白い奴らなのに。えーっと、お前ら、そろそろお別れらしいんだが、お前らはコンピューターん中に戻らなくていいのか?

SCP-1489-JP-B: お別れ?

SCP-1489-JP-B: お終い。

SCP-1489-JP-B: もう会えない?

SCP-1489-JP-A: どうなんだ博士?

████博士: まだ日を分けて実験は続けるつもりなので、再会の予定はあると言えるでしょう。

SCP-1489-JP-A: じゃあ、おいお前ら、また会えるってよ。お別れは、今日の所はって事だ。

SCP-1489-JP-B: 分かった。

SCP-1489-JP-B: 今日の所は、妖精さん帰る。

SCP-1489-JP-A: おう、じゃーなー。

[SCP-1489-JP-Bらは筐体へと向かい、出現時と同様透過する様に筐体内に姿を消す]

<再生終了>

終了報告書: 実験後のコンピューター類はSCP-1489-JP-Aの顔を写した複数の画像が保存されていた事と、「p」のキーと「c」のキーの入出力が逆になっている事を除けば正常に機能しました。後日同様の材料を用いて行われた実験では、SCP-1489-JP-BらはSCP-1489-JP-Aに対してほぼ初対面の様に振る舞いました。恐らく、記憶は然程持続しないのでしょう。

実験記録1489-JP-1 - 日付20██/██/██

対象: デスクトップ型のコンピューター1台、機械式計算機1台、外装を立方体の金属板に変更したデスクトップ型のコンピューター1台

実施方法: 実験室には予め対象を配置し、SCP-1489-JP-AとなっているDクラス職員12名を1人づつ交代に入室させて対象を異常性に曝露させる。記録機器はSCP-1489-JP-Aの死角に可能な限りのカモフラージュを施されて設置される。断りのない限り、以降の実験も同様の環境で行われている。

結果: 12人の内、コンピューター、機械式計算機では12人全員、外装を変更したコンピューターでは7人でSCP-1489-JP-Bが出現した。それぞれのSCP-1489-JP-B群間で性格等における有意な差異は認められなかった。

分析: 必ずしも電子機器である必要は無いようです。また、外装を変更したコンピューターからSCP-1489-JP-Bが出現しなかったSCP-1489-JP-Aについて調査した所、それをコンピューターであると認識していなかった事が判明しました。

実験記録1489-JP-2 - 日付20██/██/██

対象: デスクトップ型のコンピューター1台

実施方法: 同上の手順に加え、SCP-1489-JP-A、-B両者の合意を得ずSCP-1489-JP-Aを実験室から退出させた。

結果: SCP-1489-JP-Aの退出後もSCP-1489-JP-Bは動揺を見せつつも変化は見られなかったが、SCP-1489-JP-Aに記憶処理を行った所、SCP-1489-JP-Bはそれぞれがコンピューターの部品へと変化した。

分析: SCP-1489-JP-Aの認識がSCP-1489-JP-Bには欠かせないと考えられます。

実験記録1489-JP-3 - 日付20██/██/██

対象: 外装を透明なアクリル板に変更したデスクトップ型のコンピューター1台

実施方法: 実験1と同様。

結果: 内部構造そのものはSCP-1489-JP-Bに変化しなかったが、内部構造から小型のSCP-1489-JP-Bが発生した。確認したところ、内部構造を構成しているパーツ類がSCP-1489-JP-Bへと変化している事が確かめられた。

分析: あくまで視認できていない部分がSCP-1489-JP-Bへと変化するようです。変化の下限は存在するのでしょうか?

実験記録1489-JP-4 - 日付20██/██/██

対象: SCP-1489-JP

実施方法: 非日本語話者のDクラス職員12名をSCP-1489-JPに曝露させ、SCP-1489-JP-Aへ変化するか確かめた。

結果: いずれのDクラス職員もSCP-1489-JP-Aには変化しなかった。

分析: SCP-1489-JPの異常性は異常ミームに分類されるものである可能性が高いようです。これまでの実験を合わせて考えると、SCP-1489-JP-Aは「機器類の中にはそれを作動させている人型実体が存在する」という微弱なミーム汚染を受けており、それがSCP-1489-JP-Bの出現に作用している、という事なのでしょう。

実験記録1489-JP-5 - 日付20██/██/██

対象: SCP-1489-JP-A(D-6991)

実施方法: 対象に様々な機器類の構成部品についての情報を提示し、SCP-1489-JP-B発生に必要なSCP-1489-JP-Aの認知度を調査する。

結果: [データ削除済]

分析: [データ削除済]

    • _

    事案記録1489-JP: 20██/██/██、SCP-1489-JP-Aの認知に対する実験中に、SCP-1489-JP-Bの大規模な収容違反が発生しました。この影響で、サイト-81██は約2時間の間機能不全に陥りました。

    付記: 本記録は特性実験1489-JP-5に際して記録されていたものである。

    <再生開始>

    [前略、実験のタスクは既に完了し、SCP-1489-JP-AはGPSの発信機を手に持ち眺めている]

    SCP-1489-JP-A: いやーしかし驚いたなあ、こんな何気ない物にも妖精さんが居たなんてなあ。

    SCP-1489-JP-B: 妖精さんはその箱でも妖精さんをしている。妖精さんが妖精さんをしていない箱は無い。

    ████博士: さて、SCP-1489-JP-A。そろそろ実験を終わりましょう。

    SCP-1489-JP-A: はーい。[数秒の沈黙]それにしても、博士って本当機械に詳しいですよね、それこそコンピューターかなんかみたいに。

    ████博士: その例えはよく分かりませんが、褒め言葉として受け取っておきます。

    SCP-1489-JP-A: っていうか、そもそもヒトの脳みそ自体コンピューターみたいなもんなのかな、もしかして。俺はさしずめオンボロPCかぁ。

    [SCP-1489-JP-Aの手元に、SCP-1489-JP-Bが転がり落ちてくる]

    SCP-1489-JP-B: 気付いたヒト、気付いた。

    SCP-1489-JP-A: おー何だ、今度は何が言いたいんだー?というか、どっから落ちて来たんだ妖精さん。

    SCP-1489-JP-B: 箱の中では妖精さんが頑張ってる。

    SCP-1489-JP-B: 箱の中では妖精さんが頑張ってる。

    SCP-1489-JP-B: 箱の中では妖精さんが頑張ってる。

    ████博士: [悲鳴]

    [████博士が頭を掻きむしって倒れる]

    SCP-1489-JP-A: うわっ、いきなり大きな声出さないで下さいよ博士……博士?

    [SCP-1489-JP-Aが████博士を抱き起すが博士は反応を示さない。████博士の頭部からは断続的にSCP-1489-JP-Bが溢れ落ちている事が確認できる]

    SCP-1489-JP-A: 何だ、何で妖精さん、そんな所から。

    [SCP-1489-JP-Aが不意にバランスを崩して倒れこむ]

    SCP-1489-JP-A: 何で、こんな所から。

    [起き上がったSCP-1489-JP-Aの右手は、皮膚だけ残して全て消失したかの様に垂れ下がっている。SCP-1489-JP-BがSCP-1489-JP-Aの身体中から湧き出している]

    SCP-1489-JP-A: どこ、行って、妖精さん。帰ってきて、ああ、行かないで、ああ、うあ、う。

    [SCP-1489-JP-Aはうめき声を発するのみになる]

    SCP-1489-JP-B: 気付いたヒト、気付いた。

    SCP-1489-JP-B: 箱の中では妖精さんが頑張ってる。

    SCP-1489-JP-B: 四角い箱の中でも妖精さんは頑張ってる。

    SCP-1489-JP-B: 丸い箱の中でも妖精さんは頑張ってる。

    SCP-1489-JP-B: 肉と骨でできた箱の中でも妖精さんは頑張ってる。

    SCP-1489-JP-B: 気付いたヒト、気付いた。

    SCP-1489-JP-B: 箱の中では妖精さんが頑張ってる。

    [映像途絶]

    <再生終了>

    終了報告書: 事案当時、同様の現象はサイト-81██全体に伝播した事が判明しています。SCP-1489-JP-Aがヒトの生体組織を機器類の亜種として明確に認識した事が引き金となったと推測されており、同様の事案を防止する為に、本事案に関する情報はセキュリティクリアランスレベル4/1489-JP以上を持つ職員間でのみ共有される事が決定しました。

    サイト-81██の異常が判明したのは事案の約1時間後の事であり、直ぐさま機動部隊が派遣され、事態の収拾が試みられました。しかし、機動部隊が到着した所、内部の職員らは全員が意識不明ではあったものの目立って異常な点はなく、その後全員が問題なく回復しました。現在サイト-81██は職員らの当該事案に関する記憶を処理した上で通常職務に復帰しています。

    目を覚まし、被害状況の説明を受けた時は、なんだか狐につままれた様な気分になりました。SCP-1489-JP-Aの異常性が予期せぬ暴走を見せ、私の中から、私を構成していた妖精たちがボロボロと溢れて行く様を見て、私は死を覚悟しました。せめて、せめて何か出来る事は無いかと頭を捻ってみても、もう殆ど何も詰まっていない頭ではロクな考えが浮かびませんでした  いや、まだほんの少しでも考える余地が残っていただけマシだったと思うべきなのでしょう。

    とにかく、意味があるのかも無いのかも分からないまま考えを巡らせる内に、私はふと妖精が何から出来ているのかという事が気になり始めた、というのを確かに覚えています。私は考えつくまま、近くに立っていた妖精へ向けて問いかけました、『妖精は何で動いているんですか?』と。妖精は『気付かなかった』と言いました。自分達すら考えた事も無かったのだと。そう言う妖精の頭から、更に小さな妖精が転げ落ちたのが、最後の記憶です。

    『箱の中では妖精さんが頑張ってる』……筐体の中で仕組みを動かす事は、妖精が元来持つ機能と言えるのかもしれません。もしそうなら、より下位構造的な妖精に突き動かされる妖精は、その元来の機能を果たすべく己の元いた器の中へと帰る事になったのかもしれません。そうして全ては何事も無かったかの様に元通りになった……あくまで、憶測ですが。

    しかし、あの日以来私は分からなくなってしまいました。いまこうして環境を入力され、その情報を処理し、思考し、出力する私は、本当に紛れもない私なのでしょうか?私は脳に突き動かされ、脳は神経細胞に突き動かされ、神経細胞はタンパク質に突き動かされ……私と言うのは結局、操り人形の、操り人形の、そのまた操り人形なのではないか、その不安が拭えないのです……あの日から、ずっと。

page revision: 4, last edited: 06 Nov 2019 16:04
Unless otherwise stated, the content of this page is licensed under Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License

Privacy Policy of website