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nn5n: scp-2046-JP 正視
UnknownSCP-2046-JP 正視Rate: 67
SCP-2046-JP
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アイテム番号: SCP-2046-JP

オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル: SCP-2046-JPに関する情報は、本報告書を除き全てがサイト-81XR内で保守され、サイトは機動部隊は-5("墓守")が警備します。機密保持の為、Dクラス職員含むあらゆる機材・人員の搬入の際は3回輸送手段を入れ替え、また廃棄・終了手順はサイト内で完結されます。SCP-2046-JPによって得られた情報はO5評議会に共有・審議された後、need-to-knowの原則に従って、必要最低限の財団内部部門および収容チームへと通達されます。

説明: SCP-2046-JPは、サイト-81XR1に存在する、1辺25cmの黒い立方体状のオブジェクトです。SCP-2046-JPは、安定状態では床面から1m程度の高さを浮遊した状態で存在します。オブジェクトは推定100μm立方の極めて微細な立方体の集積物である事が判明していますが、この構成要素は単一の状態でのみ発現する高強度の反ミーム性を備える為、未だその詳細は判明していません。SCP-2046-JPには完全な立方体状のものと、破壊された/形成途中の様に見える立方体の断片状のものがあり、前者のみが後述する異常性を発現します。

SCP-2046-JPの異常性は人間が接触した際に発現し、接触者はその瞬間、異常な情報またはアイデアを獲得します。得られる情報・アイデアは、接触者のパーソナリティ及び接触したSCP-2046-JPによって変化しますが、大まかに次のいずれかに分類されうる事が判明しています。

  • 何らかのアノマリーに関する情報(多くの場合、財団にとって未知かつ重要度の高い情報です)
  • 何らかのアノマリーに関する根拠のない予感・先入観(しかしながら、これらのアイデアに基づいた調査や収容プロトコルの改訂は、いずれもポジティブな結果を残しています)
  • 部分的または齟齬の大きい未来予知
  • 自他を問わない死に対する強い嫌悪感と、それに伴う防衛意識の向上

同一人物が複数回SCP-2046-JPに接触した場合も都度異常性は発現しますが、接触回数が増加する毎に、得られる情報には精度の低下や新規性の欠如といった劣化が起こり、また接触者に以下の様な心理的変異が発生する様になります。

  • 死に対する極度の忌避感
  • 既成観念に対する強い疑念、陰謀論的思考
  • 自意識の存在に対する疑念
  • 誇大妄想病

これらの症状は記憶処理では回復しません。

発見当初、SCP-2046-JPは完全な実体と不完全な実体が1つずつあるのみでした。しかしそれ以降不定期なタイミングで、不完全だった実例が完全な立方体となり、同時に、新規の不完全な実例が出現するという事象が複数回発生しており、現在財団は3つの完全なSCP-2046-JPと1つの不完全なSCP-2046-JPを所持しています。以下にそのリストを表示します。
ナンバリング 完成日 得られる情報の傾向 その他注意事項
SCP-2046-JP-1 不明 幾つかの、財団が把握していなかった収容違反リスクについて 最も多数の情報を得られた実体である。
SCP-2046-JP-2 2013/██/██ 検討中であった新型の記憶処理手法開発計画のリスクについて 本オブジェクトの情報を受けて、当該計画は実行を待たずして破棄される事が決定した
SCP-2046-JP-3 2018/08/01 空想科学的事象に関する幾つかの重要な知見 本オブジェクトによって予知された事象に対抗すべく、基底世界に対抗物語論が導入されました。詳細はSCP-████-JP-EXを参照して下さい。
SCP-2046-JP-4 N/A N/A 未完成の実体。完成形と比べて約5割程の体積しか持たない。

実験記録2046-JP-i - 日付2013/██/██

被験者: D-6401

実験監督者: ████博士

実施方法: 被験者にSCP-2046-JP-1への接触を繰り返し行わせ、得られた知識と精神的な変調について聴取する。

<再生開始>

████博士: それでは実験を開始しましょう。D-6401、SCP-2046-JPに触れて下さい。

D-6401: この浮いてる箱だよな、えーっと、こんな感じで[D-6401はSCP-2046-JP-1に掌で触れる]えっ。

████博士: どうかしましたか?

D-6401: ええと、何だ?[数秒の思案]なあ博士、デカい、虫だかエビだかみたいなのって居るのか?

████博士: どうしてその事が気になりましたか?

D-6401: いや何ていうか、コレに触ったらさ、なんか急に思い付いたっていうか、その事がヤケに気にかかるっていうか。

████博士: そうですか。申し訳ないのですが機密事項なのでお答えできません。ですが、どうぞ話を続けて下さい。何か重要な情報かもしれませんから。

D-6401: お、おう。えーと、いいか?[咳払い]そのデカい虫が目を覚ましてさ、身体をぐーんと持ち上げたんだよ、そしたらソイツの背中に乗っかってる島が全部落っこちて、バカみたいに高い波が地球を荒らしまわったんだ。そう言うイメージが頭の中に降って湧いたというか[数秒の沈黙]何言ってんだろな俺、意味わかんねえよな。

████博士: いえ、どんな所に重要な情報が潜んでいるか分かりませんから。因みに、その巨大な虫は何故目を覚ましたのでしょうか?

D-6401: ミサイルが直撃したんだ、水平線の向こうからすっ飛んできてさ。

████博士: それがどこから発射されたものかは?

D-6401: 全然分かんねえ、とにかく俺の頭に出てきたのは、ミサイルぶつけられて起きたデカい化け物がそこら中ボロボロにした様子だけなんだ。

████博士: 分かりました、ありがとうございます。[メモを取る]では実験を続けましょうか。もう一度触れてみて下さい。

D-6401: ほい。[D-6401はSCP-2046-JP-1に接触する]っとと。

████博士: 何か変化はありましたか?

D-6401: ああ、ミサイル、あれ、あんたらが飛ばしたやつだったよ。

████博士: 何故その様に判断したのですか?

D-6401: 何故って言われても、パッと頭に浮かんだだけだ、さっきと一緒で。なんかSCP-████がどうとか、そこら辺あんまはっきりしないんだけどさ。

████博士: SCP-████、成る程。他には?

D-6401: うーん、何ていうか、予想外って印象が残ってる。それくらいだ。

████博士: 成る程。更に実験を続けていきます。宜しいですね?

D-6401: [笑う]拒否権ないじゃんどうせ。

[省略。3回SCP-2046-JP-1への曝露を繰り返した所、SCP-████の未知の特異性を示唆する発言を得られた]

████博士: なるほど、ありがとうございます。それでは6回目の曝露実験に行きましょうか。

D-6401: なあ、博士。ちょっとさ、休みたいんだけど。

████博士: ええ、構いませんが。疲労しましたか?

D-6401: いや、そう言うのとはちょっと違うっていうか。[数秒の思案]怖い、んだよ。よく分かんねえけど。

████博士: そうですか。異常な知識や記憶の挿入による混乱もあるでしょうからね。分かりました、少し休憩を挟みましょう。

[省略。10分ほどの小休止を置いて実験が再開された]

████博士: では、改めて6回目の実験を行いましょう。D-6401、用意はいいですか?

D-6401: [髪をかき上げる]ああ、ああ。[SCP-2046-JP-1に触れる][呻く]

████博士: どうしましたか?

D-6401: ず、頭痛だ多分。

████博士: そうですか、何か新しい情報は得られましたか?

[D-6401はしきりに周囲を気にする仕草を見せる]

████博士: D-6401?

D-6401: えっ、あっ、ああ。えーと。変な、像?がゴリゴリって足を引きずってさ、目を逸らしたら、[呻く]千切れて、泣き別れに。

████博士: なるほど、他には?

D-6401: ほ、他って、ヤバイだろ、そんなの。[部屋を見回す]暗い、こんな所じゃ、目線も分からない。

████博士: 落ち着いて下さい、恐らく、それは我々が既に収容しているオブジェクトの1つです。ここにはいません。

[D-6401は無言で████博士を見つめる]

████博士: 実験を続けましょうか。7度目の接触を行って下さい。

[D-6401はSCP-2046-JP-1を睨み付ける]

D-6401: あれは、何なんだ。あれは、俺に何をさせたい。

████博士: [数秒の思案]我々は、あれが貴方に知識を与えてくれるものだと考えています。それ以上は分かりません、だから今調べています。

D-6401: そう、かよ。

████博士: 実験を続けましょう。

[省略。更に4度の接触が行われたが、有用な情報は得られなかった]

[D-6401は爪を噛んでSCP-2046-JP-1を睨んでいる]

████博士: D-6401、休憩が必要ですか?

D-6401: [無言]

████博士: [数秒の思案]12回目の曝露実験を行います。D-6401、接触して下さい。

[D-6401は腕を突き出し、SCP-2046-JP-1へと接近する。オブジェクトに近付くに従ってD-6401の呼吸が激しくなり、接触直前で硬直する]

████博士: 大丈夫でしょうか?

D-6401: [不明瞭な呟き]

████博士: どうしましたか?

D-6401: 死にたくない。

████博士: D-6401、しっかりして下さい。

D-6401: 死にたくない。もう死にたくない。

████博士: ここに差し迫った生命の危機は存在していません、D-6401。

D-6401: そこら中に溢れてるじゃないか!何度も浸されて、もう嫌だ。死が[以下、判別不能な呟き]

████博士: [数秒の思案]実験を終了しましょう。D-6401の精神状態を今一度チェックする必要があります。

<再生終了>

終了報告書: 実験後のD-6401は高度なタナトフォビアの症状を見せ、オブジェクトとのクロステスト全般に対する強い拒否反応を見せた。記憶処理では症状は改善しなかった。

実験記録2046-JP-vii - 日付2013/██/██

被験者: D-9841

実験監督者: ████博士

実施方法: 被験者にSCP-2046-JP-2への接触を繰り返し行わせ、得られた知識と精神的な変調について聴取する。

<再生開始>

████博士: それでは実験を開始します。SCP-2046-JPに触れて下さい。

D-9841: [SCP-2046-JP-2に指先を接触させる]えっ。

████博士: 何か、唐突に思い浮かんだ事はありますか?

D-9841: ええと、怖い、思い出話?を。

████博士: 思い出ですか。どの様な?

D-9841: 大昔に、外国人の女の子の知り合いが居たって思い出です。その子にあれこれと質問されて。

████博士: 成る程、それの何処に恐怖を覚えましたか。

D-9841: あー、その、思い出って言い方してましたけど、正直そんな記憶に心当たり何てないんです。なのに、頭の中にずっと、その記憶は嘘だ、その思い出に気を付けろって、そういう妙な印象が残ってて。

████博士: それが不気味に感じられたと。

D-9841: はい。

████博士: 成る程、分かりました。実験を継続していけば、その異常性についてより詳しく判明するかもしれませんね。

D-9841: 分かりました。

[省略。6度行われた曝露実験の結果についてはレポート『レテ-プロジェクトの無期限凍結について』を別途参照]

████博士: それでは、8度目ですね。お願いします。

D-9841: え、ええ。

[D-9841はSCP-2046-JP-2に腕を伸ばすが、触れる直前に動きを止め、逡巡する様に手を前後に揺らす]

████博士: どうしましたか?

D-9841: [数秒の沈黙]大丈夫、ですよね?

████博士: と、言いますと?

D-9841: [頭を振る]なんでもないです、そう、なんてことない。[SCP-2046-JP-2に接触する]

████博士: 何か、新しいことは。

D-9841: 嫌だ。

████博士: D-9841?

D-9841: [耳を塞いで]煩い!僕はお前みたいになんかならない、お前になんかならない!僕は何も知らない!知らないんだからあっちに行け、入ってくるな!僕は僕なんだお前じゃないんだ!

████博士: どうしましたか![小声で]ミーム汚染でしょうか。実験を終了、鎮静措置を!

D-9841: 僕の中に入ってくるな、出ていけ!もういいだろ!全部手遅れなんだお前は!僕に何をしろって言うんだ!僕は、僕は絶対に、僕のままだ!

[以降、D-9841は鎮静剤を投与されるまで、うずくまって叫び続けた]

<再生終了>

終了報告書: 実験後のD-9841は「自分以外の全員が自分を洗脳しようとしている」という誇大妄想を抱いている事が判明した。記憶処理では症状は改善しなかった。

実験記録2046-JP-██ - 日付2019/██/██

被験者: エージェント・██(SCP-████-JP収容の際に身体の12%を欠損したことでエージェントとしての職を辞し、被験者に志願した)

実験監督者: ████博士

実施方法: 被験者にSCP-2046-JP-3への接触を繰り返し行わせ、得られた知識と精神的な変調について聴取する。

<再生開始>

████博士: それでは実験を開始しましょう。本当に宜しいのですね?

エージェント・██: はい。せめて最期まで、財団の役に立ちたいんです。是非私を使ってやって下さい。

████博士: 分かりました。では、SCP-2046-JP-3へ。

[省略。5回の曝露実験で、ミーム異常・現実改変複合的な異常を引き起こす存在と、それに対し耐性を持つ人々に通底する特性が示唆された]

████博士: ありがとうございます。[メモを取る]統計的には、そろそろ精神面への影響が現れ始める所ですが、如何ですか?

エージェント・██: まだ、大丈夫だと思います。

████博士: 無理はいけませんよ?未知の精神影響が発生する可能性もありますので、どの様な変調であっても必ず報告して下さい。

エージェント・██: 分かりました。今は、実験を続けましょう。

████博士: ええ。

[省略。5回の曝露実験が行われたが、有益な情報は得られなかった]

エージェント・██: そうです、笑顔が、ああ、いえ、アレを笑顔だなんて言いたくない。貼り付けて、塗りつぶした様な。[頭を抑えて沈黙する]すみません、これ以上は。ただ、漠然としたイメージだけがあるんです、どうにも、言葉で言いづらい様な。[大きく息をつく]

████博士: ご苦労様です。[メモを取る]そろそろ、精神影響が明確になってくる頃合だと思われますが。

エージェント・██: ええ、そうなんでしょう。自分でも分かるような、[数秒の沈黙]自分?

████博士: どうかしましたか?

エージェント・██: 博士。自分って、何なんでしょうね。今、動いて喋ってる私は私?私はどうやって私になったんだっけ。最初から私?それはおかしいですよね流石に。でも、じゃあ。

████博士: エージェント・██?大丈夫ですか?

エージェント・██: 私、最初から私なんかじゃ。

████博士: エージェント・██!実験を終了します、彼女に、[エージェント・██が発言を遮る]

エージェント・██: それは駄目です![2、3度荒い息を吐く]それは、嫌です。私、これはやり遂げなくちゃなりません、私かどうか分からない、でもそれは必要なんです。だから、どうか。

████博士: [数秒の思案]実験を継続できますか?

エージェント・██: できます、大丈夫です。やらせて下さい。

████博士: 分かりました。第11曝露実験を行います。

エージェント・██: ありがとう、ございます。

[エージェント・██はSCP-2046-JP-3に向き直り、手首を接触させる。その瞬間、エージェント・██が身体を仰け反らせて転倒する]

エージェント・██: [断続的な叫び声]

████博士: 実験中止します、鎮静剤の投与を!

[████博士がエージェント・██に鎮静処置を行う。エージェントの叫声は徐々に小さくなり、うめき声を漏らすのみになる]

<再生終了>

終了報告書: 2019/██/██現在、エージェント・██の意識は回復していない。同様の反応を見せた被験者はSCP-2046-JP-1で3名、SCP-2046-JP-3で2名(エージェント・██含む)が確認されており、その全てがエージェントまたは研究員の被験者であった。SCP-2046-JPが未知の特異性を有する可能性について、研究が進められている。SCP-2046-JPの作動機序と被験者のパーソナリティから引き起こされる現象であった事が判明した。詳細は補遺を参照。

補遺: 2020/██/██、SCP-2046-JPの影響から昏睡状態にあった████研究員の意識が回復しました。更にその1ヶ月後、および2年3ヶ月後に1名ずつが意識を回復し、各々の記憶に関して調査した所、3名とも極めて類似した異常な体験を報告しました。

……それで、ええ、あの後、つまり自分がSCP-2046-JP-1に触れた後の事ですよね。ええ、よく覚えていますとも。忘れられなどしないし、するわけにもいかない事です。ただ……どう話したものでしょうかね。アレは、そう……まるで、脳内に直接景色を流し込まれている様な感覚でした。それも、幾つも幾つも、数え切れぬ程の量をです。自分がSCP-2046-JP-1に触れた瞬間に体感した衝撃は、そういう類のものでした。自分の思考は、ただひたすらその情報の奔流に押し流されて、まるで纏まりませんでした。

でも、そのまま時間が経って、少しづつ自分が"見せられている"ものが何なのかが分かってきたんです。それは、人生でした。人1人分の人生、それを数え切れない位かき集めたもの。男性が、女性が、子供が、老人が。笑って、怒って、悲しんで。生まれて、育ち、老いて、死んでいく、そういうものを沢山。ええ、覚えていますとも、1人残さず。でも、それを語るにはこの人生は余りに短い、そうでしょう?それに……自分が語らねばならない事は、そんな人生1つや2つ分には収まってはくれなかった事柄なのです。

自分は、自分が体感する内の数百人かは、ソレを目にしました。豪華客船を、まるで喰らうかのように引き裂いた巨大な腕を。それからは劇的で……それ以上に悲劇的でした。 世界各地に異常が溢れ出し、それに巻き込まれた人々が、成す術もなく死んでいく。あの場で、生きているというのは、まだ殺されていないという意味でしかありませんでした。それを見ているしかなくて、見せつけられ続けて、いつまでもそれは……狂ってしまうかと思いました。いっそ狂えたなら楽だったろうし、実際のところ自分は既に狂ってしまっていたのかもしれません。そんな事はどうでもよいのです。この脳を破壊し尽くす程度では、あの悍ましい世界を形容できはしないのですから。

それに、これは何度だって繰り返してきた事なんです。自分の中で、人々は何度だって残酷な極刑にかけられ、自分はそれを受け止め、破裂して、そして最後には綺麗さっぱりに忘れ去ってきたのでしょう。残ったのは、とびきり心の奥深くに刻み込まれたトラウマだけで、我々はそれを新事実だ新発見だと呑気に祭り上げていたのです。それは、あるいはあの惨劇に増しても悍ましい事だった。

この時だって、それを繰り返したかもしれませんでした。でも、そうはならなかった。その時になって自分は、人々の阿鼻叫喚の向こう側に横たわるものに気付きました。バックグラウンドノイズの如く、平坦に、微弱に、しかし確かにそこにありました。"それ"は、自分と共に、自分よりもずっと鮮明な景色を見ていました。

SCP-2046-JPは、ずっと見ていました。人々の死を、痛みを、嘆きを、余す事なく見つめて、余す事なく記憶していました。"忘れてなるものか"、"その死を無駄にするものか"……そんな、一途で、機械的で、どこまでも真っ直ぐな信念を、自分は確かにそれの中に感じたのです。感じて、共感したのです。この光景を遍く見つめようと、この思いを決して忘れまいと。

脳に流れ込む情報は、日に日に少なく、か細くなっていきました。より1つ1つの人生が鮮明に感じられるその中で、自分は、死の後にも感覚が残り続ける事に気付きました。凪いだ空気の様なその感覚は、流される様に海や陸を渡って、その全てが同じ場所に辿り着きました……ええそうです、サイト-81XRですよ。SCP-2046-JPの断片は、人の生に伴ってそこから旅立ち、人の死に伴ってそこへ帰っていく。そうして、全ての人が死に絶えた時、箱は完成する、と。荒唐無稽に思えますか?しかし実際、自分はこの目で……それの目で、見ましたから。

それで……そうです、世界は確実に滅亡へと向かって行きました。最後の1人は財団の、恐らくはエージェントで、彼もまた自暴自棄な程に自らの使命を全うしました。機械仕掛けの神々によって世界は拭い去られ、置き直されて、そこには初めから何も無かった事になりました。そうして我々はここにあります。ブーツを履き替えた事も忘れて、かつて行った筈の道を改めて歩んでいます。

SCP-2046-JPだけが、履き潰されたブーツの事を覚えています。その変遷を焼き付けて、今に伝えています。

補遺2: 20██/██/██、SCP-2046-JP-4が完全な立方体となり、新たに不完全なSCP-2046-JP(SCP-2046-JP-5にナンバリング)が出現する事象が発生しました。SCP-2046-JP-4に対する曝露実験が進行中です。

page revision: 6, last edited: 16 Feb 2020 16:44
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