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nn5n: scp-1617-JP 言えなかったさようならを、はじめましてをもう一度
EuclidSCP-1617-JP 言えなかったさようならを、はじめましてをもう一度Rate: -4
SCP-1617-JP

アイテム番号: SCP-1617-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1617-JP-Aはインシデント1617-JP以降収容されていません。 SCP-1617-JP-Bはサイト-81██の標準収容ロッカー内で保管されます。経年劣化を防ぐため湿度や温度を適切に保ってください。現在異常性の確認実験は完了したためSCP-1617-JP-Bの使用は無期限に停止されています。

SCP-1617-JP-AはGPS装置を取り付け、サイト-81██の低脅威度生物収容ユニット内に収容されます。1日に3回適量の水を与えてください。SCP-1617-JP-Aのストレスを軽減するため、1日に1回職員との交流を行い許可された物体の複製を行わせてください。また、実験時や職員との交流時以外はSCP-1617-JP-A-1を全ての目が1の六面ダイスにしてください。


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説明: SCP-1617-JPは本来各個別にオブジェクト指定されていた2つのオブジェクト(SCP-1617-JP-A、SCP-1617-JP-B)の総称です。インシデント1617-JP後、両者の関連性の調査を行う必要が生じたため、報告書の簡略化が行われた暫定的な統合ナンバリングです。

SCP-1617-JP-A

非活動時のSCP-1617-JP-A。

SCP-1617-JP-Aはチップ1を除いたダーツのような見た目をした生命体です。活動時には地面から30 cm程度浮遊し移動しますが、睡眠状態ともとれる非活動時には地面に横たわっています。SCP-1617-JP-Aは生存に水分の摂取を必要としますが、その他の食餌は必要としません。SCP-1617-JP-Aの性格はイヌのようと形容され人懐っこく従順です。また、知能もイエイヌ(Canis lupus familiaris)と同程度とみられ、ヒトの呼びかけや指示に応えることが確認されています。

SCP-1617JP-Aは常にダイスを未知の遠隔力によって保持しています。SCP-1617-JP-Aに接しているダイス(以後SCP-1617-JP-A-1)は、SCP-1617-JP-Aが自発的に別のダイスとの交換や回転操作を行うことができます。このSCP-1617-JP-A-1を操作することで、SCP-1617-JP-Aは感情表現を行います。SCP-1617-JP-Aが嬉しさや喜びなど好意的な感情を抱いている時はSCP-1617-JP-A-1を横方向に自転させます。退屈や怒りを感じている時はSCP-1617-A-JPを縦方向に振動させ、驚いた時はSCP-1617-JP-A-1が一瞬SCP-1617-JP-Aの制御を外れて離れます。

SCP-1617-JP-Aに、物体を投げ回収を行わせる遊び、いわゆる「とってこい」を行うと、SCP-1617-JP-Aに接しているSCP-1617-JP-A-1の目の数だけ投げた物体が複製されます。この複製は投げた物体をSCP-1617-JP-Aが回収した際に行われるため、SCP-1617-JP-Aの興味を引かない物体の複製は行われません。例として、貨幣、生物、複雑な電子回路の複製はこれまで確認されていません。また、この物体の複製動作はSCP-1617-JP-Aが自発的に行う様子はなく、物体の回収を指示された時のみ行います。しかし、「とってこい」を行い物体の複製を行うことをSCP-1617-JP-Aは好んでいるようです。

実験記録1
SCP-1617-JP-A-1: 市販の6面ダイス。目は3。

投げる物体: 手描きのサイン入りボール

結果: 3つに複製された。サインも正確に複写されていた。

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実験記録2
SCP-1617-JP-A-1: 市販の6面ダイス。目は3。

投げる物体: 実験用ラット(Rattus norvegicus)1匹

結果: SCP-1617-JP-Aは投げられた対象を回収しに行かなかった。SCP-1617-JP-AはSCP-1617-JP-A-1をゆっくり振動させている。

備考: これまでSCP-1617-JP-Aによる生物の複製は確認されていません。

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実験記録7
SCP-1617-JP-A-1: 市販の20面ダイス。目は20。

投げる物体: 野球ボール

結果: 20個に複製された。SCP-1617-JP-A-1はSCP-1617-JP-A-1を勢いよく回転させている。

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実験記録8
SCP-1617-JP-A-1: 画用紙で作られた手製の6面ダイスですべての面に10と書かれている。

投げる物体: 野球ボール

結果: 10個に複製された。

分析: 実験記録7および8の結果からSCP-1617-JP-Aの複製は応用可能性が広いのではないでしょうか。

SCP-1617-JP-B

回収されたSCP-1617-JP-B。

SCP-1617-JP-Bは口の部分に金属製の留め具がついた化学繊維製の手提げ袋です。表面にはいくつかの切り傷が認められます。内部のタグにはエゾムラサキ(Myosotis sylvatica)を模したマークと「エビング配達」という語が記入されています。

SCP-1617-JP-Bは内部に物体を入れ留め具をすることで異常性が発現し、物体の転送が行われます。SCP-1617-JP-Bに入りきらない大きさの物体は、一部をSCP-1617-JP-Bで包み留め具をはめることで同様に転送されます。SCP-1617-JP-Bに留め具をすると、約30秒後に内部の物体は消失しGPS信号が途絶した別空間に移動します。そして物体が消失して約5分後、物体はその持ち主とされる人物の周囲10m以内に出現します。持ち主の判断は明確ではありませんが、物体が人間の場合、その保護者や雇用主が持ち主として選ばれる傾向があります。転送が行われると持ち主の財布や銀行口座からいくらかの金額が徴収されます。持ち主の所持金がない、あるいは少量であった場合、その所属組織から不足分が徴収されます。徴収される金額は物体が消失した地点から出現した地点までの距離におおよそ比例します。なお、持ち主がSCP-1617-JP-Bに物体を入れても転送は行われません。

SCP-1617-JP-B-1

撮影されたSCP-1617-JP-B-1。

物体が転送中に移動する別空間内は光源が存在せず、いかなる光源を持ち込もうとも最大で20cm程度しか照らすことはできません。空間内において、生物は眼球以外の身体の動作が制限されます。また、温度はおよそ3℃で、空間内にてほのかなエタノール臭が報告されています。空間内には動物型実体(以後、SCP-1617-JP-B-1)が存在しており、その呼吸音や頭部が観測されています。SCP-1617-JP-B-1は空間内で物体に対して時々爪と思われる硬い固体で接触を行うのみですが、SCP-1617-JP-B-1は再雇用されたDクラス職員記憶処理が行われた人間に対しては攻撃的になります。被害は記憶処理を受けた回数に応じて増加し、複数回記憶処理を受けた人間は多くの場合生命に関わる大怪我を負います。

実験記録5
実施方法:SCP-1617-JP-Bに対象となる物体を入れ留め具をする。隣室に器具保安担当または人材管理担当を待機させる。なお、以降特別な断りがない限り実施方法は同一である。

対象: 実験用ラット(Rattus norvegicus)1匹

結果: 消失したまま出現しなかった。

備考: 他にマタタビ(Actinidia polygama)も転送に失敗しました。

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実験記録8
対象: ブラジルに出張中のエージェント・██のボールペン

結果: 転送に成功し、その口座から██████円がなくなっていた。

備考: これまで確認された最高額です。

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実験記録12
実施方法: 持ち主であると考えられるD-80457が対象をSCP-1617-JP-Bに入れる。

対象: ████研究員からD-80457に譲与したボールペン

結果: 消失せず転送は起こらなかった。

備考: 持ち主とされる人物がSCP-1617-JP-Bを使用しても異常性が発現されないことが明らかとなりました。これにより使用した人物が対象の持ち主であるかどうかの判別ができることになります。

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実験記録13
実施方法: 持ち主であるD-80457が対象をSCP-1617-JP-Bに入れ留め具をつけた後、即座にD-80457を終了する。

対象: ████研究員からD-80457に譲与したボールペン

結果: ████研究員のもとへと転送が行われた。

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実験記録15
実施方法: 持ち主であるD-80459が対象をSCP-1617-JP-Bに入れ留め具をつけた後、即座にD-80458を終了する。

対象: D-80458が██山で拾った木材で作成した人形

結果: ██山の所有者に転送された。

備考: 持ち主となる人物は変化するようです。その特定は困難でしょう。

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実験記録17
実施方法:SCP-1617-JP-Bを裏返して留め具をする。

備考: 実験申請は却下されました。

発見経緯: SCP-1617-JP-AおよびSCP-1617-JP-Bは1999年██月██日、██県の急激な経営難に陥っていた児童養護施設に職員として潜入していたエージェント・モーガンにより発見されました。██████2を複数人が所持していたことを不審に思ったエージェント・モーガンは、児童養護施設に暮らす赤羽██氏(当時8歳)がSCP-1617-JP-Aを利用してトレーディングカードを増殖させていたことを突き止めました。以下のインタビューは赤羽氏にSCP-1617-JP-Aについて伺ったものです。

日時: 1999/██/██

対象: 赤羽██氏

インタビュアー: エージェント・モーガン

<記録開始>

エージェント・モーガン: じゃあ君がこのダッツくん3を使って████のカードを増やしてたのね。

赤羽氏: ……はい。

エージェント・モーガン: このダッツくんはどこでお友達になったのかな。
 
赤羽氏: ……██橋の下。

エージェント・モーガン: それはいつのこと?
 
赤羽氏: たぶん1週間くらい前。

エージェント・モーガン: うーんもう少し先生にその時のことを詳しくおしえてくれるかな。

赤羽氏: (沈黙)

エージェント・モーガン: お願い、赤羽くん。
 
赤羽氏: えっと、夕陽がしずむくらいの夕方に██橋の下にいたんだ。川の石に座ってたの。そしたら後ろから何かごそごそ音がして。あそこってダンボールとかごみがいっぱいあるじゃん。

エージェント・モーガン: ええ、そうね。
 
赤羽氏: おばけかと思ったから、逆にこっちからおどかしてやったんだ。そしたらダッツが飛び出してきた。黒いふくろから。サイコロ回してぎゅーんてこっち来るから追いはらおうとして持ってた石を投げつけたけど、ダッツはまた投げてほしそうに石を拾ってきた。それで何回も石を投げて遊んだんだ。

エージェント・モーガン: それでダッツくんと仲良くなったのね。ダッツくんが物を増やせるのに気づいたのはその時?

赤羽氏: ううん。ダッツをへやにこっそり連れてきてから。まだあそび足りなさそうだからおはじきを投げたんだ。その時におはじきがふえてびっくりしたよ。それでカードもふやしてもらったんだ。

エージェント・モーガン: なるほど。よくばれずに部屋にダッツくんを入れたね。

赤羽氏: それはね、ゴミすて場にあった黒いふくろ4にかくして持ち込んだの。今もダッツはその中に入れてる。なんかこのふくろがお気に入りみたい。本当にダッツはすごいんだ!ぼくになついてくれるし、何でもふやせるし!あ、でもお金はふやしてくれなかったや。で、でもすごいんだよ!
 
(重要性が低い証言のため割愛)
 
エージェント・モーガン: それでね、前も言ったけど先生の知り合いにダッツくんと似た子を研究してる方がいるのね。その方がダッツくんとお会いしたがっているから少しダッツくんを借りてもいいかしら?

赤羽氏: ……少しだけだよね?

エージェント・モーガン: ええ、もちろんよ。約束するわ。

赤羽氏: わかった。でも早くかえしてね!ダッツが来てからみんなぼくを見てくれるし████くんもなぐらないし、ダッツはぼくの親友なんだ!

<記録終了>

終了報告書: この後エージェント・モーガンによってSCP-1617-JP-Aおよび所持していたSCP-1617-JP-Bは確保され、赤羽氏にはクラスA記憶処理が行われました。赤羽氏の証言した██橋の橋桁付近では何らかの装置の破片とみられる基盤が発見されました。

SCP-1617-JP-Bの異常性は赤羽氏からオブジェクトを回収後、SCP-1617-JP-Aが自発的にSCP-1617-JP-Bに入り財団職員が輸送のため留め具を止めたことで発見されました。その際赤羽氏のもとにSCP-1617-JP-Aが転送されました。なおSCP-1617-JP-Aは出現後すぐ赤羽氏に駆け寄りましたが、現場に居合わせたエージェント・モーガンが捕獲を試みると逃亡を図りました。その後SCP-1617-JP-Aは回収され赤羽氏には再び記憶処理が行われました。

補遺: 2015/██/██、要注意団体である████の廃倉庫から新たにSCP-1617-JP-B'が発見されました。SCP-1617-JP-B'はSCP-1617-JP-Bに見られた傷や劣化がないことを除けば、SCP-1617-JP-Bと同等の外見と機能を有しています。また、同時にSCP-1617-JP-B-1が記したとされるメモが発見されました。メモにはSCP-1617-JP-Bの成り立ちや使用方法などが記してありますが、料金についての記載がないことは特筆すべきです。

初めまして!私はエビング5と言います!
忘れられたくない。誰しもが思うことですよね。私はみなさんが忘れられることのないよう、失くした人のもとに届けるサービスを始めました!
その名も「エビング配達」。████6さんに協力して頂いて実現しました。
これまでいくつものものが人々に忘れられて黄泉へと沈んでいくのを見てきました。忘れられたものが行き着くのは来し方行く末のない袋小路。失くした温もりを求めて誤魔化しのぬるま湯に浸り停滞するだけ。
忘れられるのは怖いです。きっとどんなものでもいつかは忘れられてしまうけどそれでも私は忘れてほしくないんです。かつて私の友だちも失くしたものを渡すお手伝いをしていましたが、結局彼女も忘れられてしまいました。
ですので、ぜひ「エビング配達」を使ってくださいね!
使い方は簡単!袋に入ってボタンを留めるだけ!そうすれば私があなたの愛する人間の元へとお届けします!
もしその人が忘れてしまっていても、また初めましてが言えるように。
エビング配達はそのお手伝いをするものであります。

補遺2: 2015/██/██、SCP-1617-JP-Aの収容違反が発生し、以下のインシデント1617-JPが発生しました。

2015/██/██、SCP-1617-JP-Aは担当研究者である弓削博士と交流を行っている際に収容室から脱走しました。また同時刻にサイト-81██の標準実験室にてSCP-1617-JP-B'を用いたD-91691の転送実験が行われました。D-91691は強盗致死傷罪で死刑を宣告されている経歴不明の24歳の男性で、当日の朝サイト-81██に移送されています。

14:09:42 弓削博士がSCP-1617-JP-Aの収容室に入る。SCP-1617-JP-Aはどこか落ち着かない様子を見せている。

14:10:20 D-91691がSCP-1617-JP-B'に手を入れ留め具をする。

14:10:55 D-91691が実験室から消失する。

14:13:42 弓削博士がSCP-1617-JP-Aにスポンジボールを投げて「とってこい」と呼びかける。

14:13:49 SCP-1617-JP-Aはスポンジボールではなく収容室のドアに向かう。ドアを6枚に複製して入り口を破壊し収容室から逃亡する。

14:15:20 弓削博士が機動部隊にSCP-1617-JP-Aの収容違反を通報する。

14:15:49 SCP-1617-JP-AがSCP-1617-JP-A-1を回転させながらサイト内を最高速度80 km/hで移動し、通風孔に入る。

14:15:53 D-91691が転送先の実験室に出現する。D-91691は複数の切り傷を負っており、左上肢が切断されている。切断された左上肢はD-91691から1 m離れた場所にある。

14:16:04 D-91691は錯乱状態に陥っている。右手で左腕の傷口をおさえ「腕」と何度も叫んでいる。

14:16:15 SCP-1617-JP-Aが通風孔からD-91691のいる実験室に侵入する。D-91691に近づきSCP-1617-JP-A-1を激しく回転させるが、一瞬SCP-1617-JP-A-1を振り落としそうになる。

14:16:20 SCP-1617-JP-AがD-91691の左上肢の複製を複数回行う。確認できる限り40本以上の腕が実験室に散乱する。

14:16:44 D-91691はパニックにより酸欠症状を起こしている。SCP-1617-JPは腕の複製をやめ、小刻みに動いている。

14:17:32 D-91691はSCP-1617-JP-AをつかんでSCP-1617-JP-B'に入れ、留め具をする。D-91691は何かを呟いたかのように見える。

14:17:54 SCP-1617-JP-B'が少し膨らむ。D-91691はこと切れたように姿勢を崩す。

14:17:55 機動部隊が実験室のドアを開く。瞬間、実験室内で爆発が起きる。

爆発によりD-91691が死亡、機動隊員および研究員5名が負傷し、SCP-1617-JP-B'も焼失しました。爆発の原因はSCP-1617-JP-Aが酸欠に陥ったD-91691を見て酸素分子の複製を行い実験室中の酸素濃度が高まったためと考えられています。またSCP-1617-JP-Aはインシデント1617-JP後、行方不明となっており、取り付けていたGPSの信号も消失しています。SCP-1617-JP-B'によって転送が行われたと考えられますが、転送先は依然不明です。現在SCP-1617-JP-Aと何らかの繋がりがあった可能性を考え、D-91691の身元の確認を行っています。

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メールを受信しました。

 

From : 神楽上級研究員

To : 弓削博士

Subject : SCP-1617-JPの件

お疲れ様です。先日のインシデントは災難なことでしたね。あの爆発音は私の居室にまで響いてきましたよ。そんな訳ですから私も少し気になって、SCP-1617-JPの報告書を拝見させていただきました。そして読んでいる内にSCP-1617-JPについて私の中である仮説に辿り着いたため、こうして一筆とった次第です。

結論から述べます。SCP-1617-JP-Aは見つかることは無いでしょう。あれは恐らくもうこの世界にはいません。

インシデントがなぜ起こったか考える上で、私がまず気になったのはD-91691という存在です。経歴書によると本名不明経歴不明の、24歳男性。2010年代後期に活動を行っていた犯罪組織に属し「ブル」と呼ばれ麻薬取引を行っていた。彼自身も重篤な麻薬中毒者であり、麻薬購入資金のために強盗を行い結果殺人を起こしたことで死刑が求刑された。まぁそんな人間のクズみたいな奴のもとへSCP-1617-JP-Aは収容違反を起こして一目散に会いに行った。なぜでしょうか?SCP-1617-JP-Aは最初こそ抵抗したものの現在は職員の指示にも従い15年間穏和に収容ができていたと聞いていました。そんなSCP-1617-JP-Aが突然脱走をはかるほどですから、SCP-1617-JP-AとD-91691の間には何か関係があると考えるのが自然でしょう。そしてSCP-1617-JP-Aと深い関わりがある人物はこの報告書を読む限りは1人しかいない。そうSCP-1617-JP-Aの飼い主であった赤羽氏です。私は彼とD-91691は同一人物であると考えました。

あいにく彼が暮らしていた施設は潰れ、その後の氏の足取りは掴めていないそうです。孤児で両親はおらず、当時接触していたモーガンによると友達も少なかったそうで、彼の近況を知る人物はいないようです。そのため彼がD-91691と証明するのはなかなか困難かもしれません。しかし彼がD-91691とすると様々なことに辻褄が合うのです。

順を追って話しましょう。まずSCP-1617-JP-Aと赤羽氏は河原で出会い親睦を深めます。この時SCP-1617-JP-BにSCP-1617-JP-Aを入れていることからすでにSCP-1617-JP-Aは赤羽氏の持ち主になっています。そして両者は親友となりますが、2人が一緒に暮らせるのはそう長くはありませんでした。SCP-1617-JP-Aは財団に確保され赤羽氏は2回の記憶処理を受けます。そして施設が潰れ、行く当てのない赤羽氏はどのような経緯かは知りませんが、犯罪に手を染めるようになってしまいました。その後とうとうお縄となりDクラス雇用となりインシデント当日へと至ります。

D-91691という番号を与えられた赤羽氏は、なんという偶然か、かつての親友であるSCP-1617-JP-Aが収容されているここサイト-81██へと連行されてきました。そして本能かそれとも知っていたのか、SCP-1617-JP-Aは彼が来たことに気づき脱走をはかります。逃げてもすぐ捕まるということがわかっていたからこれまで収容違反を起こさなかっただけで、本当はずっと彼のもとへ帰りたくて仕方がなかったんでしょうなぁ。ですが彼にはSCP-1617-JP-B'実験という危機が迫っています。なぜなら彼は自身を愛してくれた親友を2度も忘れてしまっている。SCP-1617-JP-B-1が怒ることは間違いないでしょう。かくして大怪我を負ったD-91691と脱走したSCP-1617-JP-A、さようならも言えずに16年もの間別たれた2人は感動の再開を果たすわけです。もちろんD-91691はそんなことを知るよしもなく生死の瀬戸際にあるわけですが。そして増殖を行うSCP-1617-JP-Aを恐れたからか、何か思い出したからか、理由はわかりませんが、SCP-1617-JP-AをSCP-1617-JP-B'に入れ転送を行いました。そして彼は息絶えました。

さて困ったのはSCP-1617-JP-Aの持ち主となる者はおらず転送する先がない。SCP-1617-JP-Aが愛する赤羽氏もかつて過ごした施設もなく、また赤羽氏と会うのを妨げた財団に戻るのも御免。それではSCP-1617-JP-Aはどこに転送されたのか?持ち主となる人はどこにいるのか?もうおわかりでしょう。SCP-1617-JP-Aは時間を超えて過去の赤羽氏のもとへ転送されたのです。あの2人が出会った橋の下へ。赤羽氏の話によるとSCP-1617-JP-Aは最初から彼に懐いていたようです。当然でしょう、SCP-1617-JP-Aは赤羽氏とはすでに旧知の仲だったのですから。そういえばSCP-1617-JP-Bで過去へ転送するための費用はいったいどれくらいになるんでしょうね。

結論として、SCP-1617-JP-Aは赤羽氏と会うために16年の時を繰り返していることになります。何度忘れられようとも、彼のことを忘れずに。

もちろん、あくまでこれは私の仮説であり想像の域を出ません。もしかしたらなんとなくSCP-1617-JP-Aが脱走したくなって、たまたま何の関係もない死刑囚とあって、我々の知らない場所へと転送されただけかもしれない。ですが、SCP-1617-JP-Aが過去へと転送された証明なら可能だと思います。収容された当時SCP-1617-JP-Aが持っていた賽子と河原で発見された装置。これらをインシデント当時のSCP-1617-JP-A-1および取り付けていたGPS装置と比べてご覧なさい。一致すればSCP-1617-JP-Aがこのサイトからあの橋の下へと転送されたことが証明されるでしょう。

ページリビジョン: 9, 最終更新日時: 05 Nov 2018 11:16
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