nn5n Foundation
Branch of SCP Foundation
nn5n: scp-375-JP 迷子のアナウンス
UnknownSCP-375-JP 迷子のアナウンスRate: 0
SCP-375-JP

アイテム番号: SCP-375-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-375-JPの発生する建物の敷地を囲むようにフェンスを設置し、敷地外に警備員を2名以上配備、カバーストーリー「地下からの有毒ガス発生による閉鎖」を適用し、民間人の立ち入りを禁止してください。敷地内および店内は監視カメラと集音マイクによる24時間態勢での監視を行います。音声が発生する機器を敷地内へ持ち込むことは禁止され、SCP-375-JPの実験を行う場合は敷地内に入る職員はDクラス職員に限定してください。なお、敷地内になんらかの異常物が発見された場合、担当者に即刻連絡してください。
現在財団が保護しているSCP-375-JP-Aは財団によって運営されている収容用居住施設に住まわせ、体内にGPS発信機を埋め込み、財団の監視下に置かなければなりません。もしSCP-375-JP-Aが帰宅を試みようとした場合は即座に確保してください。施設内にはカウンセラーが1名以上待機し、必要な場合はSCP-375-JP-Aに対してカウンセリング、投薬等が許可されます。SCP-375-JP-Aに対する実験は現在凍結中です。

説明: SCP-375-JPは██県██市に存在するショッピングモール「█████」の敷地内で不定期に発生する迷子の呼び出しアナウンスです。SCP-375-JPは敷地内に存在する、音声を発生させ得るあらゆる媒体から発生する事が確認されています。SCP-375-JPは男性のものと思われるノイズ混じりの声で、「迷子のお呼びだしを申し上げます。[住所]にお住まいの[名前]さんが迷子です」といったような簡潔な内容で放送され、この時指名された人物(以降、SCP-375-JP-Aと指定)が異常性に暴露します。

SCP-375-JP-Aは「家に帰らなければならない」という強迫性の精神影響を受け、同時に自分の家に帰宅する試みが失敗するようになります。さらに帰宅過程においてどのような事態に陥ったとしても、SCP-375-JP-Aは決して死亡に至りません。これらの異常性を取り除く方法は見つかっていません。SCP-375-JP-Aとして指名される基準は店内に存在する人間であること以外に法則性は見つかっておらず、SCP-375-JP-AがSCP-375-JPを直接聞かなかったとしても異常性に曝露します。

SCP-375-JPは2010/8/██、「あるショッピングモールで奇妙な迷子の呼び出し放送がされた」という噂に着目した財団によって調査が開始、この呼び出しに指名された人物(SCP-375-JP-A-1)の捜索によって異常性が発覚しました。SCP-375-JP-A-1は発見時、極度の疲労と栄養失調、致死的な脱水症状であったにも関わらず、SCP-375-JP-A-1の家から60km離れた██山中の道路を歩いており、財団に保護された後のインタビューでは「家に帰れない」「帰り道がわからなくなった」といった内容を述べています。現在財団が保護しているSCP-375-JP-Aは7名です。

実験記録375-JP-1 - 日付2010/9/█

対象: D-71332

実施方法: D-71332に通信機を持たせ、SCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。事前にD-71332の戸籍上の名前と住所を変更しており、暴露後の様子を観察する。なお、敷地内のあらゆるスピーカーはあらかじめ撤去しており、以下の実験も同様である。

結果: 敷地内に入ってから5時間後にSCP-375-JPが通信機のスピーカーから発生し、D-71332が曝露する。その際のアナウンス内容は、D-71332の戸籍上の名前と住所では無く、D-71332の本名と財団に雇用される前に住んでいたアパートの住所が読み上げられた。

実験記録375-JP-2 - 日付2010/9/██

対象: D-71340

実施方法: 「SCP-375-JPがコンセントを外したスピーカーから発生した」という証言を確認するため、D-71340をSCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。D-71340にはバッテリーを外した通信機、ジャック部分を切り取ったイヤホン、防犯ブザー、チャイム等の音声が発生する機器を所持させる。

結果: 敷地内に入ってから2時間40分後にD-71340が所持していた音声を発生させる機器全てからSCP-375-JPが発生した。防犯ブザー等のビープ音以外の音声を発せられない機器からもSCP-375-JPの発生が確認されている。

実験記録375-JP-4 - 日付2010/9/██

対象: D-71365

実施方法: D-71365に通信機を持たせ、SCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。事前にD-71365に対して記憶処理を施しており、D-71365の名前と住んでいた場所の記憶を失っている。

結果: 敷地内に入ってから7分後にSCP-375-JPが通信機のスピーカーから発生する。その際のアナウンス内容は、D-71365の本名と財団に雇用される前に住んでいた住所だった。

実験記録375-JP-10 - 日付2010/11/██

対象: D-71369

実施方法: D-71369をSCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。敷地内にスピーカーは持ちこまず、録画・録音の機能のみを持ちスピーカーを撤去したカメラを所持させ、この状況でSCP-375-JP発生の有無を観察する。

結果: 侵入から13分後、店内の二階にあるフードコートで身元不明の男子児童の死体らしき実体発見される。年齢は8~10歳程度と推測され、栄養失調とおぼしき特徴がみられる。前回実験の際にはこの実体は存在せず、さらに店内の監視カメラの死角に出現していた。D-71369が実体に近付こうとした瞬間、D-71369は敷地外に向かって走り出す。6分後、敷地外に出てきたD-71369を確保したところ、D-71369はSCP-375-JPに曝露していた。敷地内に設置したマイクからはSCP-375-JPの発生は確認できなかった。
現在のところ、今回の事例はSCP-375-JPの発生場所が確認できていない唯一の事例です。男子児童の遺体らしき実体などのイレギュラーな点が多く、さらなる調査が必要です。─██博士

実験記録375-JP-11 - 日付2010/11/██

対象: D-71372

実施方法: D-71372をSCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。実験記録375-JP-10と同様に録画・録音の機能のみを持ち、スピーカーを撤去したカメラとマイクと遺体収納袋を所持させ、店内に設置したマイクの点検と交換に加えて設置数の増加、さらに可能であれば実験記録375-JP-10で発見された実体の確保を行う。

結果: 実体は消失していた。なお、元は雑貨店が存在した区画に「かえる」とマジックペンで書かれていた。いつ、誰が書いたものかは不明。SCP-375-JPは現在のところ発生しておらず、継続して滞在させ、経過を観察する。
2011/11/██ 追記: 1年間D-71372を滞在させたが、変化は一切見られない。D-71372が店内を捜索中に外側から敷地内に通信機を投げ入れたところ、SCP-375-JPが発生しD-71372が曝露する。異常性が消失していない事が確認された。

以降の実験でも、実験記録375-JP-10で発生した実体は確認されていません。

実験記録375-JP-A-1 - 日付2010/9/█

対象: SCP-375-JP-A-1

実施方法: SCP-375-JP-A-1を車で目的地に送る。運転はエージェント・若穂が担当。

結果: 運転開始から6分でカーナビが異なる方向を案内し始めたため、紙面の地図を用いて運転を再開。しかし目的地まで14kmの地点で車が原因不明のエンジン停止。別の車を使い帰宅を再開するも同様に原因不明のエンジン停止を起こす。実験中止。

報告: 実験担当者からは電車の利用の案も挙げられていますが、電車の使用も同様の事態になる可能性が高く、車両の破損や脱線による民間人への影響が懸念されるため、提案は却下されています。

実験記録375-JP-A-2 - 日付2010/9/██

対象: SCP-375-JP-A-8(実験記録375-JP-1で暴露したD-71332)

実施方法: SCP-375-JP-Aの意識の有無が異常性に関係しているかを確認する。SCP-375-JP-A-8を薬品で熟睡状態にして車で目的地に送る。運転はエージェント・犀が担当。

結果: カーナビの混乱までは実験記録375-JP-A-1とほぼ同じ結果に終わる。なお、目的地まで16kmの地点で軽トラックの居眠り運転による追突事故が発生し実験中止。幸い怪我人はおらず、SCP-375-JP-A-8も無傷。

報告: 居眠り運転をしたトラックの運転手にインタビューしたところ、「普段はそんなことは無いのに、あの時だけ急に耐えきれないほど眠くなった」と述べています。これがSCP-375-JPの異常性に関係があるかは調査中です。

実験記録375-JP-A-3 - 日付2010/10/█

対象: SCP-375-JP-A-3

実施方法: 車を使用せず、徒歩のみでSCP-375-JP-A-3を目的地まで送る。エージェント・犀をリーダーとした4名の職員が同行し、各種紙面による地図によって正確にナビゲートする。

結果: 実験開始直後からGPS発信機を除いた各電子機器が異常をきたす。その後は順調に進んでいたが、目的地まで5kmの地点でバスの信号無視による事故が発生し、エージェント2名が軽傷、1名が重傷を負ったことで実験中止。SCP-375-JP-A-3に怪我は無い。

報告: 事故を起こしたバスの運転手は死亡しており、同バスの添乗員は「信号は赤だったが、運転手に声をかける前に事故が起きた」と述べています。この事故による死者は運転手のみです。
SCP-375-JPは紙面の地図を書き換える能力は無いようだ。そういえばカーナビ自体も、案内がデタラメになるとはいえ地図そのものは変化していなかった。─エージェント・犀

実験記録375-JP-A-4 - 日付2010/10/██

対象: SCP-375-JP-A-1,2,3,4

実施方法: SCP-375-JP-Aの住所を変更する。被験者の家族や家財を変更後の住所に移動させる、記憶処理および催眠誘導などで変更後の住所を自身の家と認識させるなど、幾つかのパターンを実行。

結果: SCP-375-JP-Aは家財や家族の有無などに関わらず、SCP-375-JP暴露前の住所に戻ることを希望した。また、記憶処理や催眠誘導にも効果は見られず。またSCP-375-JP-Aが帰宅を望む住所を土地ごと財団が買い上げる、家を取り壊すなどの状態であっても、暴露前の住所に戻ることを希望し、帰宅を試みようとした。

実験記録375-JP-A-5 - 日付2010/10/██

対象: SCP-375-JP-A-8

実施方法: カバーストーリー「不発弾の撤去」によって交通整理・封鎖を行い、SCP-375-JP-A-8を目的地まで送る。不測の事態に備えて機動部隊を配備し、案内や誘導は機材を用いず煙や音、看板などを使用する。

結果: [データ削除]

報告: 当事案に対してはカバーストーリー「不発弾の爆発およびそれによるガスの発生」を適用済みです。この事案における重軽傷者は合わせて██名、死亡者は█名、行方不明者が1名1です。SCP-375-JP-A-8は両足を失い、致死量を超えた出血をしながらも目的地への移動を試みていましたが、機動隊員が担ぎ上げようと肩に手を触れた瞬間に生命活動を停止しました。以降のSCP-375-JP-Aの帰宅実験は凍結されました。実験再開の予定はありません。

対象: SCP-375-JP-A-1

インタビュアー: エージェント・若穂

付記: SCP-375-JP-A-1の保護直後、対象は極度の心身衰弱状態にあり、財団直轄の病院へ搬送されました。当インタビューは意識が回復した後に行われ、インタビューを円滑にするために対象を本名である「安曇野 █」と呼んでいます。

<録音開始, [2010/8/██]>

エージェント・若穂: それではインタビューを始めます。それでは安曇野さん、よろしくお願いします。

SCP-375-JP-A-1: ああ、その、よろしく。それで……言っていいかな。

エージェント・若穂: どうぞ。ご希望があれば、可能な範囲で聞きますよ。

SCP-375-JP-A-1: 今すぐ退院させてくれ。家に帰りたいんだよ。

エージェント・若穂: それは……申し訳ありませんが、せめて一週間は入院した方がいいですよ。我々が発見した時には今にも倒れそうなほど衰弱してらっしゃったんですから。

SCP-375-JP-A-1: わかってる。でも、帰りたいんだよ。ここは落ち着かないんだ。なぁ、頼むよ。帰らせてくれよ。なんだかわかんないけど帰れないんだ。頼むよ。

エージェント・若穂: 帰れない? ご自身の住所はわかります、よね?

SCP-375-JP-A-1: わかってるに決まってんだろ! ██県██市[編集済]! 自分の家を忘れるわけ、ない。

エージェント・若穂: それなのに帰れない?

SCP-375-JP-A-1: 駄目だった。帰り道がわからないんだ。見覚えがあるはずなのに知らない景色で、右に曲がるつもりが左に曲がってて……信じられないよなぁ。車が壊れて、エンジン動かなくなって、タクシー拾ってもタクシーがおかしくなって、家に帰ろうとすればするほど、遠くなってるんだよ。家の屋根が見えたと思ったら、気付いたら山の中にいたんだ。嘘ついてると思うか? いや……信じられないよな。

エージェント・若穂: 信じます。大丈夫ですよ。

SCP-375-JP-A-1: そ、そうか? まぁ、どっちでもいいさ。ともかく早く、退院させてくれ。家に帰らなきゃ。

エージェント・若穂: まずは寝て、体力を取り戻していきましょう。それで……そうですね、帰れなくなった原因に心当たりなどはありませんか? 何か奇妙な体験があったとか、変なものを見たとか。

SCP-375-JP-A-1: 変なもの……いや、わからん。

エージェント・若穂: そうですか。では、どうして家に帰りたいのでしょうか。やっぱり安心できますか?

SCP-375-JP-A-1: 当たり前だ! こうなって、はじめてわかったよ。人間が一番安心できる場所って、自分の家なんだよ。何十年と生きてきた場所じゃないと、夜も眠れないんだ。

エージェント・若穂: なるほど。やっぱり思い出とかたくさんあるでしょうし。

SCP-375-JP-A-1: ……思い出。そうだな。でも(8秒ほど沈黙)……そうだよ、思い出した。あいつ、あいつも帰れなくなったんだ。

エージェント・若穂: 安曇野さん?

SCP-375-JP-A-1: 昔、俺が小学生だったくらいの……なんか今、急に思い出したんだ。友だち、いや友だちって言っていいのかわからないけど、そいつに言ったんだ。おまえんち火事になったとか、おまえの親がおまえのことを置いて引っ越したとか……なんでそんなこと言ったのかとか、そいつの名前、思い出せないけど、俺は、からかうつもりで、本当にそんなことに、なるなんて。

(約1分間、SCP-375-JP-A-1は沈黙)

SCP-375-JP-A-1: あの時聞こえたのもあいつの声だった。思い出した。

エージェント・若穂: あの時?

SCP-375-JP-A-1: あの時、メシ食うために█████(SCP-375-JPが発生するショッピングモール)に寄って、帰ろうかなって時に、変な……迷子の呼び出しみたいなのが流れたんだ。

エージェント・若穂: 内容を覚えていますか?

SCP-375-JP-A-1: たしか、「[SCP-375-JP-A-1の住所]にお住まいの安曇野さんが迷子です」って感じだった。なんか妙な、変な放送だった。他の客とか店員とかも不思議に思ったみたいだけど、俺は気味が悪いな、くらいで……そのまま、帰ろうとして……家の場所が、わからなくなって……

エージェント・若穂: では、その放送の声が、その……?

SCP-375-JP-A-1: いや、あの放送は妙に低い男の声だった。ただ、

エージェント・若穂: ただ?

SCP-375-JP-A-1: 自動ドアが開いた時に、聞こえたんだ。「おまえが帰れない」って。確かにあれは、あいつの声だった。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー終了後、SCP-375-JP-A-1は窓ガラスを割って病室からの脱出を試みましたが、ガラスを叩く音を聞きつけた職員に取り押さえられました。SCP-375-JP-A-1は現在、不眠を主とした、重度のうつの兆候が見られます。SCP-375-JP-A-1が聞いたという声に関しては不明です。

ページリビジョン: 6, 最終更新日時: 21 Dec 2016 02:01
Unless otherwise stated, the content of this page is licensed under Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 License

Privacy Policy of website