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nn5n: scp-1953-JP 老害憤死
EuclidSCP-1953-JP 老害憤死Rate: 26
SCP-1953-JP
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収容室内のSCP-1953-JP

アイテム番号: SCP-1953-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-1953-JPの研究は、オブジェクトが無力化以前に生成したLQD/独立走査型ミーム類1を解析することが現在の主要な課題となっています。SCP-1953-JPの残骸は保管サイト-8119の低危険度ミームオブジェクト専用ロッカーに保存されます。尚、霊的実体学を用いたSCP-1953-JPの研究は、既に一定の解決を見たと考えられています。

SCP-1953-JPはサイト-8159の小型オブジェクト収容室に収容されます。収容室にはLQD/独立走査型対抗ミーム措置が施され、本報告書を含むSCP-1953-JPを表現したあらゆる媒体は対抗ミームの摂取無しに閲覧することを許可されません。SCP-1953-JPとの直接的あるいは間接的なコミュニケーションは、財団に関する知識が一定水準以下と認められたDクラス職員が実施しますが、当該Dクラスを財団の他職員や研究員と接触させることは終了後を除いて許可されず、SCP-1953-JP関連実験において死亡もしくは実験続行不可能となるまで、専用の隔離室に収容し、行動を監視され続けます。Dクラスによる実験報告は対抗ミーム措置を施した人工知能プログラムに対し行わせます。

SCP-1953-JP-Aとなった財団職員に対しては、専用の隔離室において人工知能による精神療法とインタビューが適宜行われますが、当人の希望に応じて、Γクラス記憶処理か安楽死の何れかが最終的な処置として選択されます。

説明: SCP-1953-JPは、人間男性の頭部を模した形状をした岩石であり、その外見は財団日本支部上級研究員であった烏谷博士に酷似しています。烏谷博士は、SCP-1953-JPが現れる数ヶ月前に非異常性の理由により死去しています。素材は非異常性の花崗岩であり、外見と破壊不可能性の他には一見して異常な性質を有しておらず、自律的な移動等の能力はないと思われます。インシデントレポート1953-JP-37を参照して下さい。

SCP-1953-JPについての記述や証言を認識する、もしくはSCP-1953-JPの周囲半径3m以内に人間が近づいた場合、その人物はSCP-1953-JPが生成するLQD/独立走査型異常ミームの汚染を受けます。この際、「烏谷博士に似た老年男性の声を聞いた」と曝露者は一様に証言しますが、SCP-1953-JPが音波などを生成した形跡は認められず、認識異常の一種であると考えられています。この性質により、SCP-1953-JPは付近にいる曝露者と会話を行うことが可能になっています。

曝露者が財団の活動やオブジェクトの研究について一定以上の知識を持つ人物2であった場合、曝露者はSCP-1953-JP-Aとなります。SCP-1953-JP-Aとなった人物は、オブジェクトとの物理的な距離や関連知識の有無にかかわらず、常にSCP-1953-JPの独立走査型ミームを異常な脳信号として絶えず受信し続ける状態となります。それらの脳信号は、極めて暴力的で抑圧的な言語表現としてSCP-1953-JP-Aに認識され、不眠症や抑鬱をはじめとする広汎な精神障害や希死念慮を招きます3。現在の所、大脳辺縁系に到達した独立走査ミームを無効化する唯一の方法は、Γクラス記憶処理による財団関連記憶の一斉消去のみとなっています。

烏谷博士について: 烏谷悦夫博士は、20██年に65歳で病死するまで財団日本支部のミーム管理学部門の部長を務めていました。1998年に独立走査型ミームの発達に関する論文が認められて以来、同部門の諸研究の発展に尽くしていましたが、晩年において研究チームの部下職員2名による論文が、自身の研究の剽窃であると主張し、財団法務部門に論文の削除と当該研究員らの処罰を訴えましたが、盗用の事実は認定されず、その後病気により休職しそのまま死去されました。同博士は生前、同僚職員から「穏和」「お人好し」と呼ばれる人柄で知られており、後進の育成にも尽力していました。

201█年11月20日、突如としてSCP-1953-JPの収容室から半径周囲50mへ独立走査ミームが放出され、17名の財団職員がSCP-1953-JPの異常性に曝露しました。その際、偶然的に収容室の付近にいた崔博士が、ミームの作用を通じてSCP-1953-JPと意思の疎通を行いました。尚、崔博士は新人職員時代に烏谷博士の講義を受けた経験があり、個人的にも親しい仲でした。以下は意思疎通の終了後、崔博士の証言に基づいて会話形式に再現されたものです。

対象: SCP-1953-JP

インタビュアー: 崔博士(神的/霊的実体学主任研究員)

<記録開始,201█/11/20>

崔: そんなにお怒りになられてどうしたのですか、SCP-1953-JP。

SCP-1953-JP: おお、これは懐かしい顔じゃないか、崔君。

崔: お久しゅうございます、SCP-1953-JP。こうして会話するのはいつぶりでしょうか。

SCP-1953-JP: それは若い君の方が覚えているだろう。ああ、済まないが、私の事はナンバーではなく烏谷先生と呼んでくれないか。昔のように。

崔: そうさせていただきます、烏谷先生。私にとってもその方がお呼びしやすく存じます。

SCP-1953-JP: いやすまんな、あまり気にしないでくれ。財団のルールはもちろんよく知っているが、それに従うことが全てではない。財団は時に間違いも犯すものだ。我々研究者と同じくな。

崔: 先生がお怒りなのは、財団に何か”間違い”があったため、ということですか。

SCP-1953-JP: [3秒沈黙]そうだ。あの盗人共を、私の研究を盗んだ者たちを、君らは処罰しなかった。崔君よ、君が悪いのでないことは知っている。だが、もうこの怒りは到底収まるものではないのだ。たとえ私の肉体が死んでしまったとしてもな。

崔: ご忠言痛み入ります、烏谷先生。しかし、あの論文が剽窃でないことは既に明らかになっております。財団の決定を――

SCP-1953-JP: [語調が強くなる]良い子ぶった口を利くな! 腹立たしい。崔君、お前はそうして上に媚びへつらうのが昔から上手だったな。そうやって春日4や████5に上手いこと取り入って出世したのだろう。まさか実力で今の地位までのし上がったなどと思い上がっているのではあるまいな?

崔: 滅相もございません、先生。私など、先生のご指導ご鞭撻がなければ今頃どうなっていたことか。

SCP-1953-JP: 思ってもいないことをぺらぺらと喋るんじゃない。大体、前々から気に入らなかったのだ。あの盗人共も、君を含めた他の若手研究員連中も、やっていることと言えば私のアイディアを模倣するか、得意げに壊して「これが新しい理論だ」とわめき立ててみせることぐらいではないか。お前達が何を創造した? お前達が財団の何を造った? 全て私や私の偉大なる諸先輩方が築き上げたものではないのかね?

崔: 仰るとおりです。先生方が居なければ、今日の我々の活動はありませんでした。いや、人類そのものが異常なオブジェクトによって既に滅ぼされていたのかも知れません。

SCP-1953-JP: そうだ。私も先輩方も、皆人類のために、己を殺し、言いたいことも言わず、財団からのどんな理不尽な仕打ちにも我慢をして、只管命がけで研究に没頭していたのだ。それを、君らはやれこれが間違いだの、これが古くさいだのと、自分らの未熟を棚に上げて私たちの成果を貶めることに精を出し、自分自身では何も生み出さず生意気なことばかり言っているではないか。折角の、折角私が久方ぶりに産みだしたアイディアを、大切な独創を、それを君ら若造共は盗んだのだ! 違うのか!

崔: 貴方がたの偉大さを誰も疑ってはいませんよ、烏谷先生。

SCP-1953-JP: 嘘を吐くな。君らは自分たちの方が我々より評価されるべきだと自惚れているだけだ。崔、昨日書いていたお前の報告書を読んだぞ。なんだあれは。独創性の欠片もない。既存の研究の稚拙なパッチワークのようだ。陳腐で手垢まみれのつまらないクズだ。あんなもので皆から評価して貰えると本気で思っているのか。

崔: 大変情けない話で涙が出てくるのですが、我々はもうあのようなものしか書けないのですよ、先生。先生や先輩方のお導きがないものですから。

SCP-1953-JP: [5秒沈黙]何?

崔: 烏谷先生、貴方は我々を財団職員として正しく育て上げる道の半ばで召されてしまわれた。日本では古くから、少しのことにも先達はあらまほしきことなりと言われます。私とて、直ぐ傍に手本となり得るような報告書があれば、あのように無様なものは書かなかったでしょうね。

SCP-1953-JP: 何を言って――

崔: ですから、是非とも後学のために、我々の手本となるようなものをもう一度書いて頂きたいのですよ、先生。ミーム学についての最新の研究成果を全てお見せしましょう。そちらをお読みになり、先生にしか書けない、最高の仕事を我々に見せて頂きたいのです。そうすれば、皆先生の志を思い出し、貴方の正しさを再度確信することにもなりましょう。

SCP-1953-JP: [10秒沈黙]いいだろう。私の研究で君ら若造共の研究が全て否定されることとなっても、文句を言わず受け入れることだ。

<記録終了>

終了報告書(概要): インシデント終了後、SCP-1953-JPは異常ミームの伝達をやめ、収容室内外での活動を停止しました。崔博士を初めとする異常ミームに曝露した職員達はSCP-1953-JP-Aに変化せず、脳にも特段の変化は確認できませんでした。崔博士とSCP-1953-JP研究チームの協議により、収容室内に最新のミーム学研究実績を記録した音声認識可能なコンピューターが持ち込まれました。

201█年12月1日、SCP-1953-JPが収容室内の床面に倒れ、破損しているのが発見されました。丁度顔面に当たる部分が粉々に砕けており、修復不可能の状態でした。Dクラスによる回収を経て、SCP-1953-JP及び関連する報告書や物品から独立走査性ミームが消失していることを確認。ミーム学、霊的実体学両部門からの承認を得て、オブジェクトはNeutralized認定されました。
収容室内のコンピューターには、幾度か不明な手段でアクセスした形跡が見られたものの、音声認識機能やキーボード入力は未使用のまま保たれていました。また、SCP-1953-JPが置かれていた横の壁面に、こすりつけたような傷跡がついているのが確認されました。壁面に残された石灰から、SCP-1953-JPが自律的に移動した可能性が示唆されましたが、監視カメラに記録等は残されていませんでした。以下に示すのは壁面の傷跡の写真です。

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収容室内の傷跡
ページリビジョン: 3, 最終更新日時: 26 Nov 2018 14:08
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