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nn5n: scp-1703-JP 1万3047本目の東京タワー
EuclidSCP-1703-JP 1万3047本目の東京タワーRate: 24
SCP-1703-JP

アイテム番号: SCP-1703-JP

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出現中のSCP-1703-JP。

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1703-JPの出現地点は24時間体制で監視され、日本電波塔の職員に変装した機動部隊き-112が現地での収容体制を維持します。SCP-1703-JPの出現が確認された場合、担当職員は日本電波塔内に存在している人間を現地から速やかに退去させてください。これらの活動はSCP-1703-JPの消失が確認されるまで継続し、消失が確認されてから30分待機した後に警戒を解除してください。

もし電波塔内に一般人が侵入した場合、SCP-1703-JPの消失が確認されるまで待機した後に速やかに対象人物を確保してください。その後、対象人物は記憶処理を施したうえで解放してください。

SCP-1703-JPと関連が見られる情報は諜報部隊く-3333によって管理され、担当分隊はマスメディアに対する情報規制や政府関係者への対応を行ってください。なお、拡散された情報に関してはカバーストーリー「科学的根拠」を適用し偽装情報を流布する事で対処してください。

説明: SCP-1703-JPは東京都港区芝公園4丁目2-8に出現する日本電波塔1と同様の形状をした電波塔です。SCP-1703-JPの出現イベントは毎年1回の周期で発生し、██月██日の19:00~0:00の間で本来の日本電波塔と重なる様な形でオブジェクトが出現します。SCP-1703-JPは規定時間内でおよそ1時間から4時間の間隔で存在し続け、限界時間に到達した段階で微細に揺動しつつ消失します。現在、SCP-1703-JPへの接触・成分分析は対象オブジェクトが透過するという現象により成功していません。

SCP-1703-JPが出現している最中の電波塔内に人間が存在した場合、男女間および同性愛者間での恋愛感情に起因する交際関係へと発展します。これらの現象は双方の関係性が劣悪と評価される場合であっても発生し、主に恋愛対象者に関する記憶の改ざんと思われる現象が関係の発展に起因していると思われます。

現在、影響を受けた人間はこれらの記憶以外にも橘内 七海氏という人物に関する記憶も保有しており、七海氏が自分達を引き合わせてくれた等の肯定的な印象を主張し続けています。20██年現在、橘内 七海氏は既に死亡2が確認されており、この人物がSCP-1703-JPの出現に関与しているとみて調査が進められています。

改ざんされた記憶は記憶処理を利用する事で抹消が可能です。ですが、記憶の抹消と共にSCP-1703-JPによる影響も消失する為、この時点で影響を受けていた人間同士の関係は破綻します。

発見経緯: SCP-1703-JPは20██年代に発覚した「東京タワーが少しぶれて見える」という噂話を切っ掛けに発見されました。当時、周辺地域では上述した現象に伴う恋愛成就に関する都市伝説が流行しており、これらの情報に興味を持ったエージェント・桑田による統計調査が実施されました。調査の結果、現象が確認された時間に来場した人間同士の結婚率がほぼ100%である事が判明し、異常性を察知したエージェント・桑田は3名のエージェントを同伴させたうえで電波塔周辺の監視調査を開始しました。調査開始から1年後、エージェント等はSCP-1703-JPの出現を確認しすぐさま詳細を報告。財団は機動部隊を現地に派遣したうえで現象の隠蔽にカバーストーリー「光の屈折」を適用し、対象の収容を完了しました。

以下はDクラス職員に行ったインタビュー記録の抜粋です。

対象: D-49387(以下、Dと表記)

インタビュアー: エージェント・桑田

付記: 以下の記録は20██/██/█に実施された潜入実験でSCP-1703-JPの影響を受けたD-49387に対して行われました。

<録音開始>

インタビュアー: 改めて本日は、橘内 七海さんの事について詳しく教えて下さい。

D: 橘内さんかあ。……まあ端的にいえば、俺らの恩人てとこかな。

インタビュアー: 彼女はどの様な形で貴方とD-277……██子さん(D-27765の本名)との仲を取り持ってくれたのですか?

D: ……そうだなあ。あれは、確か俺とあいつが東京タワーでやった例の実験の行った時だったかな。ほら、俺が途中でトイレに行きたいつった時があったろ。あんたらがさっさとしろって言ううもんだから、俺直ぐに済ませてさ。んで、トイレから出てあいつの所に戻ろうとした時、そん時にたまたま橘内さんと橘内さんの旦那さんに出会ったんだよ。

インタビュアー: 橘内さんのご主人もそこにいたのですか?

D: ああ。まあ、奥さん曰くすげえ人見知りらしくて、直ぐどっか行っちまったけどな。んで、奥さんが座りながらちょっと話そうって言って、暫くベンチでだべってたんだ。

インタビュアー:その時、どのような内容を話したのですか?

D: まあ普通の話。ここには何の用事で来たのとか、何処から来たのとか。当たり障りも無い感じで、特にいう程の事もなかったな。……で、暫く話してる内に気が付いたらあいつの話になってて。あそこにいる彼女は貴方の何って奥さんが言ってさ。まあ何って言われてもただの同僚としか言えなかったし、それ以上の関係だって何なのかもわかんなかったしさ。ぶっちゃけ、俺とあいつはそんなに仲がいい訳でもなかったから、これと言って特別でもないってそん時は伝えてたんだ。でも、橘内さんと話してる内にだんだん、なんか、あいつに対する認識が変わっていって。凄い複雑な感情が沸き起こって来てさ。マジで、あれ不思議な感覚だったよ。

インタビュアー: 厳密には、どのような感覚でしたか?

D: ……まず、あいつと過ごしてた今までの記憶が頭の中に思い浮かんで来て、それと同時に胸も苦しくなって来て。……すげえ憎たらしいと思ってたあの顔が、気が付くとすげえ可愛く思えてきたんだ。……正直説明するのは難しいけど、次第にあいつの事を好きになって行ったんだと思う。……そんで、橘内さんが、行ってきなさいって背中を押してくれて。そんで、直ぐに告白した。

インタビュアー: ██子さん様子はどうでしたか? 何か変わった様子は?

D: ……すげえ顔は真っ赤にさせてたよ。それで告白したら、あいつも同じ気持ちだって言って、両思いだったって。……マジで、そん時は信じられなかったけど、ほんと、人生何が起こるかわからないって。そう思ったよ。

インタビュアー: ……わかりました。ありがとうございます。では質問を変えて、それ以外に、何か気になる事はありましたか? 特に、橘内さんの事については。

D: 気になる事? 特には無かったと思うが……そうだな。……橘内さんに限って言えば、少し妙に思う事はあったな。大した事じゃねえんだけどよ。1つだけ。

インタビュアー: 構いません。ぜひ、教えて下さい。

D: ……なんか分かんないけど、橘内さん時々心ここにあらずって感じで遠くの方を見つめる時があったんだよ。んで、どうかしたんですかって俺が訊いても、何でもないですとしか言わないし、なんか変だなあとは思ってた。

インタビュアー: その正確な方角とかは分かりますか?

D: ああ。多分、フットタウンあそこだったから……建物の北側に見た方だったと思う。ビルかなんかだったかな。███って名前が書かれたでっかい看板があって、時々そこをずっと見てた。

インタビュアー: そのビルに心当たりは。

D: ないない。俺があんなとこ行くわけないだろ?

インタビュアー: ……分かりました。ありがとうございます。今日のインタビューはここまでにしましょう。お疲れさまでした。

<録音終了>

終了報告書: D-27765にも同様のインタビューを行った結果、橘内氏によってD-49387への告白を促されたという内容を主張しました。なお、双方の証言と実際に行われた実験記録の時間には大きな差異が確認され、これら全ての記憶は改ざんされた物であると決定されました。200█年現在、D-49387が証言した建物に関する調査を行った結果、東京都██████に位置する███証券会社所有のビルである事が判明しました。

追記1: D-49387の証言から███証券会社のビルを調査した結果、立ち入りが禁止されていた屋上にて成人女性と思われるミイラ化した死体が発見されました。対象は死後20年以上経過していると思われ、所持品や司法解剖の結果から橘内 七海氏本人である事が判明しました。また、死体のあった地点と同地点に段ボールに入れられた総数13047枚に及ぶ宛先・郵便番号も未記入の葉書も発見され、酷く乱れた字体で主に橘内氏に対する愛の告白と思われる文章が記入されていました。これらの事案から何者かによる橘内氏殺害の可能性が浮上し、エージェント・桑田をリーダーとした調査部による事件捜査が開始されました。現在、橘内氏の死体が発見された███証券会社との関連についても調査を行っています。

インタビュー記録1703-JP-192

対象: 橘内 紀久代氏(橘内 七海氏の母親。以下、紀久代氏と表記)

インタビュアー: エージェント・桑田

付記: インタビューは徳島県██市に位置する橘内 七海氏の実家で行われました。なお、七海氏の父親である茂徳氏は19██/█/██(SCP-1703-JP発見からおよそ5年前)に何者かによって殺害され、この事件もSCP-1703-JPの出現に関連していると見て調査が行われています。

<録音開始>

インタビュアー: どうも橘内さん。早速で申し訳ないのですが、娘さんの事について教えていただけますか? 彼女の周辺で何かおかしな事が起きていたとか、何でも構いません。

紀久代氏: ……もう、10年も前になります。切っ掛けは、あの子のもとに変な手紙が届きはじめた事でした。

インタビュアー: 手紙ですか。

紀久代氏: 宛名も何も書かれてない、酷く汚い字で、気持ちのわるい文章ばかりが書かれた葉書が家のポスト入れられ始めたんです。切手も貼って無くて、多分夜とか朝早くに誰かが家のポストに勝手に入れていってるんだろうって主人が……。なので、ずっと外を見張りながら、何時でも警察に突き出せる様にこちらも準備をしていたんです。……でも、どんなに見張ってても、どんなに待っていてもそれらしい人間は現れなくて、にも拘らず気が付いたらポストの中に手紙だけが入れられていて……。もう、気味が悪くて……。その時からです。娘の体調が悪くなっていったのは。日に日に食欲も失せて、見るからに痩せていって。それで、とうとう高校の授業中に急に倒れてしまい、そのまま、病院に。休んで良いって言ったのに、あの子無理して……。でも結局、田舎の病院じゃ原因も分からないってお医者様に言われて、仕方がなく東京の大きな病院への紹介状を書いて貰いそちらに入院させました……。

インタビュアー: それが███病院だった訳ですね。その時、娘さんの方には誰が。

紀久代氏: ……私が。うちは小さな町工場をやってましたから。主人が家を離れるわけにもいかず……。でも、その時に主人が……。

インタビュアー: ……なるほど。

紀久代氏: ……[鼻を啜る音]もうパニックでした。警察にもストーカーの被害が前からあった事も、きっとそいつがやったんだって事も全部話して。主人は……あいつに殺されたんだと。……でも、結局犯人は見つかりませんでした。

インタビュアー: 娘さんが亡くなったのはその後ですか。

紀久代氏: ……お医者様には心臓が原因だって言われましたけど、あの娘の姿を見れば分かります。娘は殺されたんです。あの子に手紙を送り続けていたあいつに。

インタビュアー: 何故そう思うのですか?

紀久代氏: [震える声]……握られてたんです。娘の手に。あいつからの手紙が……。内容は全く新しい物でした。誰も信じてくれませんでした。でも……。いたんです。あいつが……。あいつが娘を殺したんです……!

[3秒間の橘内氏のすすり泣く声]

インタビュアー: ……娘さんについて何ですが、もう1つ質問があります。東京タワーに興味があったとか、そう言うのはありますか?

紀久代氏: ……興味ですか。……ええ、まあ。あの子、恋愛ドラマが好きでしたから。毎日ビデオに予約して、欠かさず見てました。特にお気に入りのドラマがあって、確か最後は東京タワーで告白するっていうストーリーだったと思います。いつかあんな恋がしてみたいなって、よく言ってました。まあ……病室からもタワーは見えてまし、皮肉にも夢が叶ったのかなって、いつも……。なんでそんな事を?

インタビュアー: 詳しくは言えません。ですが、今娘さんの周囲でそれに関係する事件が起きている可能性がありまして。

紀久代氏: 娘の周りにですか?

インタビュアー: はい。それと最後に奥さん、お辛いかもしれませんが。見ていただきたい物が。……その送られてきた手紙と言うのは、これですか?

紀久代氏: な、なんでこれを……!

インタビュアー: とある事情で我々が回収しました。他にも何枚かあります。これで、間違いはないですか。

紀久代氏: ありえません! あれは全部燃やしたんです! 残っている筈がありません!

インタビュアー: お気持ちは分かります。ですが、ここは我々に一旦協力していただきたいんです。これらに何か変わったところはあれば、教えて下さい。どんな些細な事でも構いません。お願いします。

紀久代氏: 変わったところですか……。もうずいぶん前の事ですし、私に分かるかどうか……。それに、こんな物はもう二度と……。

[5秒間の沈黙]

インタビュアー: 何かわかりましたか?

[2秒間の沈黙]

インタビュアー: 橘内さん?

紀久代氏: [震える声]……あの、これ、これは、一体いつ書かれた物なんですか。

インタビュアー: ……いつ?

紀久代氏: いつなんです。……だってこれ……書かれている内容全部、最近うちで起きた事ばかりなんですもの……。

インタビュアー: 全部、ですか?

紀久代氏: これも、これも全部、うちで起きた事をうちの娘と誰かが眺めているとしか思えない内容で……! なんで…! なんでこんな…!

[3秒間の紀久代氏の狼狽えたような声]

インタビュアー: 橘内さん、しっかりしてください。落ち着いて。

紀久代氏: 嫌……! 嫌……!

インタビュアー: 橘内さん。

[紀久代氏が暴れる音]

インタビュアー: 私だ。至急応援を頼む。もしもし。……おい、どうした。

[インターフォンの音]

インタビュアー: ……何?

<録音終了>

終了報告書: インタビュー終了後、同伴していたエージェントにより気絶している紀久代氏とエージェント・桑田が発見されました。2人に外傷はなく精神状態にも何ら問題は見られませんでしたが、記録上で確認されているインターフォンの音や橘内氏宅への来客等の状況は外で待機していたエージェントには一切認識されていませんでした。現在もこれらの原因の究明が行われています。

追記2: 七海氏の司法解剖の結果、体内から以下の内容が記入された葉書が発見されました。

僕らは毎日恋をする。君の望んだ東京タワー。僕らは毎年そこで愛を誓う。

page revision: 9, last edited: 16 Oct 2019 15:22
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